【感想】「風そよぐ-川端謹次、小松益喜と神戸ゆかりの画家たち-」(神戸ゆかりの美術館、2020/8/1~8/30)レビュー

神戸ゆかりの美術館で開催されている「風そよぐ-川端謹次、小松益喜と神戸ゆかりの画家たち-」(会期:2020年8月1日~8月30日)に行ってきました。この展覧会では、サブタイトル通り、川端謹次と小松益喜を中心に、神戸ゆかりの画家たちの作品が展示されていました。

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

 

第1室 川端謹次
・海景遠望
・ふくらむマスト、風を切る舟
・波
・風そよぐ木々

第2室 小松益喜
・たなびく旗
・路地裏をぬける
・煙突の煙

第3室 神戸ゆかりの画家たち
・神戸の新風

 

第1室は、川端謹次の作品23点が展示されていました。川端謹次の風景画は、フォービスム的な力強い色彩と筆触が特徴で、思わず引き込まれてしまいます。特に、柔らかい海の表情と木々の生命観溢れる表現の対比が美しく感動的です。タイトル通り、風を感じる動的な作品が多いように感じました。

 

一方、異人館の画家と呼ばれる小松益喜は、建物を描いた作品が中心になります。路地裏を描いた作品を眺めていますと、不思議と子どもの頃に観た生活風景のような感覚を覚えました。また、風にたなびく旗が描き込まれた作品も多く展示されていました。基本的に静的な作品が多い小松益喜ですが、こうした旗を描くことで動的な表現を試みていたのでしょうか。

 

第3室では、神戸ゆかりの画家として、古家新や小出卓二、東浦好洋、石阪春男、貝原六一、中西勝、松本宏、田中徳喜、中右瑛の作品が並んでいました。この中では、東浦好洋の《遠い日(白いみなと)》や中西勝の《人類無限》が印象に残りました。中西勝に関しては、他に《聖母子(インディオ)》という作品も展示されていましたが、個性の強さは相変わらずでした。

 

他に、以前の展覧会でも観た、石阪春男の《ある室内の風景Ⅱ》や貝原六一の《羊の群れと行くドン・キホーテ》という作品も素晴らしく、お気に入りの作品です。

 

私は兵庫県にゆかりのある画家の作品を目にすることが多いのですが、他の地域にも、あまり知られていない実力のあるご当地画家がおられますので、そうした画家たちの作品を観る機会が増えればと願っています。ただ、コロナ禍の影響で、美術館によっては、オンラインで作品を鑑賞できるようにしたところもあり、こうした試みは実にありがたいですね。

2020年09月03日|ブログのカテゴリー:2020年投稿, 展覧会レビュー