【感想】「企画展にみる10年の成果 美術館を紡いだ作家たち」(BBプラザ美術館、2019/4/9~6/16)レビュー

BBプラザ美術館は、兵庫県立美術館から神戸市立王子動物園までの南北約1.2kmにわたる通称ミュージアムロードと呼ばれる道中にあります。ちなみに、ミュージアムロードには、兵庫県立美術館を最南端に、BBプラザ美術館、神戸市立王子動物園、神戸文学館、横尾忠則現代美術館、兵庫県立原田の森ギャラリーといった多くの文化施設が集まっています。

 

BBプラザ美術館は、株式会社シマブンコーポレーションの創業100周年記念事業の一環として2009年7月に開館された美術館で、近・現在の日本画家や洋画家、フランス近代の巨匠たち、神戸ゆかりの作家たちの作品を所蔵しています。

BBプラザ美術館「企画展にみる10年の成果 美術館を紡いだ作家たち」BBプラザ美術館「企画展にみる10年の成果 美術館を紡いだ作家たち」

 

今回の2019年度企画展Ⅰ「企画展にみる10年の成果 美術館を紡いだ作家たち」は、開館10週年を迎えたこの美術館の成果を、企画展の歩みを通して振り返ろうというものです。内容は、開催年順に2期に分けられ、前期は2009年から2013年まで、後期は2014年から2018年までという区切りになります。

 

◆前期(4/9~5/12)の出品作家名
網谷義郎、石井一男、上前智祐、菅井汲、須田剋太、高山辰雄、辰野登恵子、西村功、吉見敏治

 

◆後期(5/14~6/16)の出品作家名
植松奎二、JUN TAMBA、須飼秀和、高橋信夫、辰野登恵子、中辻悦子、長谷川三郎、堀尾貞治、元永定正

 

私は、今回、兵庫県立美術館の特別展「印象派からその先へ」の鑑賞ついでに、後期展示の鑑賞に行ってきました。後期展示では作品が展示スペースに入り切らなかったようで、溢れた作品がエントランスと受付の間のロビーにも展示されていました。

 

入館する際には気づかなかったんですが、展示室で一通り観終わったものの出品リストの作品を全部見ていないような気がするけど、これで終わりかな…と思いながら帰るときに、ふと横を見ると、あれこんなところにもあった、という感じでした。

 

内容的には、中辻悦子や元永定正による絵本原画シリーズから、激しい感情を吐露した高橋信夫の作品、様々なパターンを組み合わせた辰野登恵子の作品、地元の景色を爽やかに描いた須飼秀和の作品、モダンアートの最先端を行く長谷川三郎や堀尾貞治の作品、JUN TAMBAの鉄製の小型作品群、植松奎二の空間を感じさせる作品など、統一性は全くありませんが、それぞれに奥深い作品が並んでいました。

 

これまでに、こうした作家たちの展覧会を鑑賞されてきた方にとっては、思い出深い展覧会になったと思います。一方で、こうした作家たちの作品に初めて接する方にとっては、全体的な統一感がないので、掴みどころのない展覧会に見えたかもしれません。しかし、こうした通覧型の展覧会は、これまで知らなかった作家と出会える貴重な機会でもありますので、そうした出会い楽しみにしつつ鑑賞されると良いと思います。

 

2019年06月13日|ブログのカテゴリー:2019年投稿, 展覧会レビュー