【感想】「コレクション2 米・仏・独・英の現代美術を中心に」(国立国際美術館、会期:2020/11/3~2021/1/31)レビュー

国立国際美術館で開催されている「コレクション2 米・仏・独・英の現代美術を中心に」(会期:2020年11月3日~2021年1月31日)を鑑賞しました。このコレクション展は、同会期で開催されている「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」と対をなすように、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス他における戦後から現代までの作品が展示されています。

国立国際美術館「コレクション2 米・仏・独・英の現代美術を中心に」

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

 

1-アメリカ:1
2-アメリカ:2
3-フランス
4-ドイツ
5-英国
6-他の国々

 

アメリカの作品では、リチャード・タトル《場3》《場11》《場15》やアンディ・ウォーホル《4フィートの花》が印象に残りました。リチャード・タトルの作品は、金網に着色した紙粘土のようなものを貼り付けた小さな作品ですが、素朴で可愛い造形作品でした。一方、アンディ・ウォーホルの《4フィートの花》では、無機質で大きな4枚の花が描かれていますが、背景に描かれている緑の葉との不思議な調和が感じられます。

 

フランスやドイツ、イギリスの国別作品は、それぞれのお国柄が作品にも反映されている様子が面白いですね。例えば、フランスのニキ・ド・サンファールの《アダムとイヴ》という作品は、男女が一体になった小さな像ですが、カラフルに着色されておりラテン系のテンションが感じられます。

 

英国のトニー・クラッグの《分泌物》という作品は、“彫刻も特殊な分泌物だ”と考えているクラッグの奇妙な作品です。人体様の造形の全体が小さなサイコロで覆われています。また、リチャード・ハミルトンの《浴室》シリーズや《鏡の送り返しA》も不思議と気になる写真作品でした。

 

その他の国々では、イタリア生まれのルーチョ・フォンタナが制作した、単色の画面をカッターで切り込んだ作品《空間概念、期待》や、スイスの彫刻家アルベルト・ジャコメッティの《ヤナイハラⅠ》などが展示されていました。

 

今回は、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」を観た後での鑑賞でしたので、かなりのギャップを感じました。既にその価値が認められた巨匠たちの作品と、これから時代と共に評価が下されることになる現代アートとの対比となっています。これらの作品のなかで100年後にも生き残っている作品は…と想像を働かせながら鑑賞するのも楽しいですね。

2020年11月30日|ブログのカテゴリー:2020年投稿, 展覧会レビュー