【感想】「人間国宝 森口邦彦 友禅/デザイン―交差する自由へのまなざし」(京都国立近代美術館、会期:2020/10/13~12/6)レビュー

京都国立近代美術館で開催されている「人間国宝 森口邦彦 友禅/デザイン―交差する自由へのまなざし」(会期:2020年10月13日~12月6日)に行ってきました。この展覧会は、友禅の技法で人間国宝の認定を受けている森口邦彦氏の創作作品が一堂に展示されています。

人間国宝 森口邦彦 友禅/デザイン―交差する自由へのまなざし人間国宝 森口邦彦 友禅/デザイン―交差する自由へのまなざし

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

 

1章 着物/草稿
2章 京都/パリ 習作の時代
3章 友禅×デザイン
4章 「実り」 デザインを日常へ
5章 クロス・トランスミッション:森口邦彦×セーヴル

 

今回の展覧会は、1章から3章までが3階の企画展示室で展示され、4章と5章は1階のロビーで展示されていました。うっかりしますと、1階の展示を見逃してしまうかもしれませんのでご注意下さい。

 

今回の展覧会のメインは、何と言っても1章の着物展示でしょう。圧倒的な展示数の友禅が、観る者を圧倒します。そして、その何れもが見事なデザインで、その洗練されたセンスに驚かされます。そして、それらは偶然に頼ったデザインではなく、すべてが綿密に計算されたデザインになっています。上部から下部へと形状や色調が美しいグラデーションになっています。

 

会場内では、映像が2種類(約10分、約30分)上映されていました。そこには、森口邦彦氏の制作風景が映っていましたが、通常の画家たちの制作現場とは異なり、かなり綺麗好きな方であることがわかります。

 

また、第2章で展示されていた絵画作品などを観ていますと、その多彩な才能に驚かされます。以前、兵庫県立美術館で鑑賞した「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」の時に感じた、皆川明氏の多才さと同種の驚きを覚えました。こうしたデザイン系の方は、絵画技術的にも優れた方が多いのかもしれません。

 

1階では、森口邦彦氏によるデザインの発展系として、Liberty Londonとコラボしたトートバッグやショルダーバッグ、ポーチなどが展示されていました。また、壁一面には三越ショッピングバッグ「実り」が飾られていました。そして、陶磁器のセーヴルとのコラボ作品も展示されていました。

 

次の動画は、2017年に京都国立近代美術館で開催された「技を極める―ヴァン クリーフ&アーペル ハイジュエリーと日本の工芸」展に関する森口邦彦氏のコメント動画です。森口邦彦氏のその人となりが伝わってくると思います。

2020年12月03日|ブログのカテゴリー:2020年投稿, 展覧会レビュー