【感想】「秋季館蔵品展 山のある風景 -ゆかりの作家が描く世界の名山と故郷(ふるさと)のやまなみ-」(植野記念美術館、会期:2020/10/24~12/25)レビュー

植野記念美術館で開催されている「秋季館蔵品展 山のある風景 -ゆかりの作家が描く世界の名山と故郷(ふるさと)のやまなみ-」(会期:2020年10月24日~12月25日)に行ってきました。

「秋季館蔵品展 山のある風景 -ゆかりの作家が描く世界の名山と故郷(ふるさと)のやまなみ-」(植野記念美術館、会期:2020/10/24~12/25)「秋季館蔵品展 山のある風景 -ゆかりの作家が描く世界の名山と故郷(ふるさと)のやまなみ-」(植野記念美術館、会期:2020/10/24~12/25)

 

この展覧会は、植野記念美術館が所蔵している作品から、「山のある風景」をテーマに作品を選んで展示しています。

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

 

順路Ⅰ 日本の山々
順路Ⅱ 丹波の山々
順路Ⅲ 世界の山々
順路Ⅳ 中国の山々
順路Ⅴ 新規受贈作品展

 

今回は、丹波市にゆかりのある画家として、川端謹次(1909~1998)と常岡幹彦(1930~2015)が登場しています。川端謹次、常岡幹彦ともに、兵庫県氷上郡(現丹波市)出身です。

 

日本各地の風景画を数多く描いた川端謹次の作品は、鮮やかな色使いが特徴で、四季折々の情景が楽しめました。なかでも、《山のある風景》《横岳》《赤城山の大沼》《芦の湯》《残雪の箱根》《対岸の玄武洞》《摩耶山より》《秋の高源寺》などの作品が印象に残りました。

 

一方、常岡幹彦の作品は、幻想的な作品も多く心惹かれました。《夕映》では、その3分の2を占める青空に浮かぶ大量の桃色の雲が特徴的で、他では見られない表現でした。また、《国領の里》は、下部に描かれた小さな民家とその背後に赤く大きくせり出す山の姿が何とも不可思議で、懐かしさをも感じさせる作品でした。

 

また、スイスでの取材に基づく常岡幹彦の大型作品も展示されていました。《黎峻(ゴルナーグラートにて)》に関しては、その下絵も一緒に展示されていました。下絵では、山の背景の下部に描かれた青い部分が曖昧に描かれていましたが、本作ではかなり明快に描かれており、赤や黄の背景と融合して見事な景観になっています。

 

さらにこの展覧会では、李庚(1950~)、陳允陸(1959~)が氷上町を訪れた際に描いた作品も展示されていました。そして、何海霞(1908~1998)、周懐民(1907~1996)、陶一清(1914~1986)、陳大章(1930~2015)、李行簡(1937~)らによる中国の山を描いた作品群も展示されていました。

 

陳允陸《桂林煙雨》は大型の作品で、舟の描き方など日本とは異なる独特の表現に魅力を感じました。他に、李行簡、陳大章の作品も印象的でした。これらの作品では、墨彩の濃淡を利用した遠近法が特徴的でした。

 

今回の展覧会用の図録はありませんが、過去に開催された「川端謹次展」や「常岡幹彦展」「陳允陸展」の図録がありましたので購入しました。

2020年12月23日|ブログのカテゴリー:2020年投稿, 展覧会レビュー