【感想】2021年コレクション展Ⅰ 特集「同級生・同窓生」(兵庫県立美術館、会期:2021/2/13~7/4)/ 小企画「頴川コレクション・梅舒適コレクション受贈記念展」(同、会期:2021/4/24~7/4)レビュー

兵庫県立美術館で開催されている、2021年コレクション展Ⅰ 特集「同級生・同窓生」(会期:2021年2月13日~7月4日)/ 小企画「頴川コレクション・梅舒適コレクション受贈記念展」(会期:2021年4月24日~7月4日)を鑑賞しました。

2021年コレクション展Ⅰ 特集「同級生・同窓生」2021年コレクション展Ⅰ 特集「同級生・同窓生」

 

まず、特集「同級生・同窓生」ですが、こちらは以下の構成となっています。

プロローグ 同窓生-美校を首席で卒業が誇り
第一章 同級生・同窓生-同じ釜の飯を食う
第二章 同級生-スター、誕生!?

 

今回の特集は、美術作品の持つ肩書きに注目し、特に「出品歴」に焦点を当てた企画内容となっています。

 

まず、プロローグでは、東京美術学校を首席で卒業した経歴を持つ二人、金山平三と小磯良平の学生時代の作品、そして、臨時写真科だった中山岩太の学生時代の写真作品が展示されています。風景画のイメージが強い金山平三の人物画と小磯良平の瑞々しい裸婦が印象的でした。

 

第一章では、公募展の同じ回に出品された縁ある作品が展示されていました。まさに、作品における同級生・同窓生です。ここでは、「文展」「帝展」といった官展や、「二科会」「独立美術協会」「行動美術協会」といった在野の美術団体の展覧会から選ばれています。

 

第二章では、官民が一体化した展覧会での同級生作品が紹介されていました。ここでは、「紀元二千六百年奉祝美術展」「サンパウロ・ビエンナーレ」「現代日本美術展」「コンティニュイテ・エ・アヴァンギャルド・オ・ジャポン展」「ヴェネツィア・ビエンナーレ」「日本国際美術展」の出品作品が登場します。

 

2021年コレクション展Ⅰでは、他に、マックス・エルンストやジョアン・ミロの版画、ロダンや佐藤忠良などの近現代史の彫刻、小磯良平記念室、金山平三記念室での常設展示作品も楽しめます。

 

最後は、小企画「頴川コレクション・梅舒適コレクション受贈記念展」です。これは、2019年に兵庫県立美術館が受贈した二つのコレクションの展示となっています。

 

一つは、大阪の実業家・頴川德助(えがわとくすけ、1899~1976)のコレクションで、日本美術が中心となります。今回の春季展示では、重要文化財の伝能阿弥《三保松原図》や土佐光起《春秋花鳥図》、円山応挙《鯉鮒図》、森狙仙《雨中桜五匹猿図》、山本梅逸《柳桃黄鳥図》、などを観ることができました。

 

一方、篆刻家(てんこくか、印章の作成家)として知られる梅舒適(ばいじょてき、本名:稲田文一、1916~2008)のコレクションからは、特に、近代中国の書画家・篆刻家である呉昌碩(ごしょうせき、1844~1927)の作品が多数展示されていました。

 

ちなみに、小企画「頴川コレクション・梅舒適コレクション受贈記念展」に関しては、14ページの立派なパンフレットが配布されていました。全展示作品が掲載されているわけではありませんが、代表的な35点の作品の解説が掲載されています。

2021年05月29日|ブログのカテゴリー:2021年投稿, 展覧会レビュー