【感想】「若冲と近世絵画展」(相国寺承天閣美術館、会期:2021/4/29~10/24)レビュー

相国寺承天閣美術館で開催されている「若冲と近世絵画展」(会期:2021年4月29日~10月24日)に行ってきました。この展覧会では、伊藤若冲など相国寺と関係の深い絵師たちの作品が展示されています。

 

相国寺承天閣美術館(しょうこくじ じょうてんかくびじゅつかん)は初めての訪問となりました。ここは、足利義満によって創建された相国寺(臨済宗)創建600年記念事業の一環として設立された美術館で、本山相国寺・鹿苑寺(金閣)・慈照寺(銀閣)・他塔頭寺院に伝わる美術品を所蔵・展示しています。

相国寺相国寺承天閣美術館若冲と近世絵画展

 

承天閣美術館は相国寺境内にあり、入り口で靴を脱いで鑑賞する様式になっています。館内は、落ち着いた雰囲気で、大型作品も多数展示されていました。回廊からの眺めも心地よく、中央ロビーには映像コーナーもありました。

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

第1章 伊藤若冲と相国寺
《夕佳亭》
第2章 天明の大火とその復興
第3章 金閣寺、銀閣寺の障壁画
第4章 十八世紀の京都画壇の名宝
常設展示 鹿苑寺大書院障壁画のうち

 

第1章は、久保田米僊による《伊藤若冲像》から始まります。ここでは、伊藤若冲による大型の作品《釈迦三尊像》が展示されていました。華やかに着飾った普賢菩薩像と文殊菩薩像を両脇に従えた、厳かで幾分質素な釈迦如来像が描かれています。他にも、伊藤若冲と相国寺との深い関係が窺われる作品が多数展示されていました。

 

第2章では、相国寺に住持した梅荘顕常(ばいそうけんじょう、1719-1801)や絵師の原在中(はら ざいちゅう、1750-1837)を中心に、天明の大火に関係ある作品や資料が展示されていました。

 

第3章では、金閣寺(鹿苑寺)や銀閣寺(慈照寺)の障壁画や、それにまつわる作品が展示されていました。中央部では、常設展示されている伊藤若冲の鹿苑寺大書院障壁画《葡萄小禽図》や《月夜芭蕉図》も鑑賞することができます。

 

第4章では、重要文化財に指定されている円山応挙の大型作品《大瀑布図》(Ⅰ期展示のみ)も見ることができました。Ⅱ期展示では、同じく重要文化財に指定されている円山応挙の《牡丹孔雀図》が鑑賞できるようです。

 

今回の展覧会を通して、改めて日本美術と仏教の間には深い関係があることが分かります。相国寺派の寺院を通して、京の絵師たちの活躍が垣間見える見応えのある展覧会になっていました。中央ロビーでは、「若冲 ~相国寺と伊藤若冲~」と題された11分30秒の映像も放映されていました。

展覧会情報

展覧会名:若冲と近世絵画展
会場:相国寺承天閣美術館
会期:2021年4月29日(木・祝)~ 10月24日(日)
休館日:会期中無休
観覧料:一般800円
割引:障碍者手帳提示で無料
音声ガイド:なし
写真撮影:不可
図録:なし
Web:相国寺承天閣美術館「若冲と近世絵画展」
2021年07月20日|ブログのカテゴリー:2021年投稿, 展覧会レビュー