【感想】「ながれる日 時任美佳 日本画展」(三木市立堀光美術館、2019/9/1~9/29)レビュー

三木市立堀光美術館で開催されている、企画展「ながれる日 時任美佳 日本画展」(会期:2019年9月1日~9月29日)に行ってきました。

「ながれる日 時任美佳 日本画展」(三木市立堀光美術館)

 

時任さんは、院友の若手日本画家で、日常をテーマにした作品を制作されています。ちなみに、院友というのは、再興日本美術院展覧会(院展)及び春の院展で入選し、同人会で推挙された研究会員であことが前提で、再興日本美術院展覧会(院展)に3回入選することで推挙される肩書になります。なお、日本美術院では、研究会員、院友、特待、招待、同人という作家区分が設けられています。

 

今回の展覧会「ながれる日 時任美佳 日本画展」では、時任美佳さんの2006年から2019年にかけての作品26点が展示されていました。2012年の院展で入選した《夏の帽子屋》(2012年)という作品では、帽子が陳列されている帽子屋の様子が描かれており、女の子と左右の帽子掛に掛かった帽子群の構図が心地よく、背景の棚の帽子とも上手く調和しメリハリが効いています。

 

一方、院友の推挙を決めた《サンプル》(2017年)という作品では、各々のサンプルが強い自己主張をしており、画面全体が見るものに迫ってくる感覚に襲われますが、前に立っている後ろ向きの女の子のスカートは背景が透けており、サンプルたちの自己主張とは対照的です。

 

◆夏の帽子屋(左)、鯉のぼり(中央)、サンプル(右)

時任美佳「夏の帽子屋」「鯉のぼり」「サンプル」

 

《ランプの部屋》(2013年)という作品では、全体的に暗い雰囲気の中で、ほんのり灯るランプや暗いオブジェたちが収納された棚が描かれています。このように日常のなかで見かけるものをテーマにしながら、それらが集合することでどのようになるかを表現されているようです。最近の作品では、《リース》(2018年)という作品の完成度が高く感じました。

2019年09月30日|ブログのカテゴリー:2019年投稿, 展覧会レビュー