【感想】「高野山金剛峯寺 襖絵完成記念 千住博展」(神戸ゆかりの美術館&神戸ファッション美術館、2019/9/14~11/4)レビュー

神戸ゆかりの美術館と神戸ファッション美術館の2館合同で開催されている「高野山金剛峯寺 襖絵完成記念 千住博展」(会期:2019年9月14日~11月4日)に行ってきました。

 

千住博氏の新作襖絵が2020年に世界遺産・高野山金剛峯寺に奉納されることになり、それに先立ち今回の展覧会で一般公開されることになりました。奉納される襖絵は、総延長17メートルの障壁画《断崖図》と総延長25メートルの《瀧図》なので、これを展示するためにはかなりの展示スペースが必要となり、2館合同で開催しないと不可能な展示内容でした。

 

展示内容は以下のとおりです。

 

第1会場(神戸ゆかりの美術館)
1.瀧図(2018、高野山金剛峯寺 囲炉裏の間)
2.断崖図(2018、高野山金剛峯寺 茶の間)
3.四季瀧図(春)(1999)
4.四季瀧図(夏)(1999)
5.四季瀧図(秋)(1999)
6.四季瀧図(冬)(1999)
7.フラットウォーター#1(1993)
8.断崖図#2(2012)
9.断崖図#22(2016)

 

第2会場(神戸ファッション美術館)
10.湖畔初秋図(1993)
11.湖畔に蜻蛉図(1993)
12.朝(1994)
13.水(1994)
14.宙(1994)
15.龍神Ⅰ・Ⅱ(2015)
16.フォーリングカラー(2005)
17.フォーリングカラー(2005)
18.フォーリングカラー(2005)
19.フォーリングカラー(2005)
20.フォーリングカラー(2005)
21.フォーリングカラー(2005)
22.遥か(青い鳥)(1980)
23.終着駅(1985)
24.朝に向かって(1989)
25.月響(2006)
26.三春の朧桜(2013)
27.朧月夜の朧桜(2016)

 

第1会場の神戸ゆかりの美術館では、今回奉納される2作品が、実際の襖の配置に合わせて展示されていました。墨を使わず、雲肌麻紙と天然岩絵の具、胡粉、プラチナ泥を使用した作品で、天然素材なので1000年後も残る圧巻の作品に仕上がっています。背景の暗い群青色が心地良いですね。

 

第1会場と第2会場の間に、千住博氏が奉納作品を実際に制作している様子を収録した映像(約10分)が上映されており、貴重かつわかりやすい内容でした。

 

第2会場の神戸ファッション美術館では、千住博氏のこれまでの作品の流れがよく分かる展示内容になっていました。初期に描かれた人物を含む作品もありましたが、やはり千住博氏の最大の魅力は風景画ですね。《龍神Ⅰ・Ⅱ》に関しては、唯一写真撮影が許可されていました。この作品は蛍光塗料が使用されており、定期的に照明が暗くなると青白い幻想的な世界が展開していました。

 

◆千住博《龍神Ⅰ・Ⅱ》

千住博《龍神Ⅰ・Ⅱ》千住博《龍神Ⅰ・Ⅱ》

 

個人的には、奉納作品以外で、《朝》《水》《宙》《朧月夜の朧桜》《断崖図#22》などの作品が魅力的でした。今回の展覧会の図録は、簡易ケースに2冊のパンフレットが入っており、1,223円と手頃な価格でした。最近の図録は豪華なものが増えてきて、重い上に価格も3千円超えのものが増えてきましたが、こうした手頃な図録もありがたいですね。

2019年10月20日|ブログのカテゴリー:2019年投稿, 展覧会レビュー