【感想】「2019年度 第5回コレクション展」(京都国立近代美術館、2019/10/30~12/22)レビュー

京都国立近代美術館で開催されている「2019年度 第5回コレクション展」(会期:2019年10月30日~12月22日)を鑑賞しました。今回のコレクション展は、同館で開催されている「円山応挙から近代京都画壇へ」と連動した企画もありました。

京都国立近代美術館「2019年度 第5回コレクション展」

 

大型美術館の場合、特別展と並行してコレクション展が開催されていることがよくありますが、現実問題として両方の展覧会を同日にすべて鑑賞するというのは至難の業です。最初から1日がかりで鑑賞予定を立てて来ている場合はまだ良いのですが、特別展を目的に来館したついでに…、というのは時間的にも肉体的にもなかなかきついものがあります。

 

特に、その美術館が大きければ大きいほど、コレクション展の規模も大きく、通常の特別展並の展示点数となっています。なので、時間が許すなら、日を改めてコレクション展を目的にした鑑賞日を設けたいところです。

 

実は、かく言う私も前回、「円山応挙から近代京都画壇へ」を鑑賞したついでにコレクション展も鑑賞したのですが、あまりの充実ぶりに驚きつつ、時間の都合で駆け足で鑑賞していました。なので、今回は2度目の鑑賞となります。

 

「2019年度 第5回コレクション展」のテーマは以下のとおりです。

A 円山・四条派の系譜―近代京都画壇より
B 生誕130年 野島康三の写真
C 近代工芸の花鳥風月
D 日本洋画と装飾性
E 常設屋外彫刻

 

最初の「円山・四条派の系譜―近代京都画壇より」は、企画展「円山応挙から近代京都画壇へ」に関連した作品が同館のコレクションから選ばれて展示されていましたが、「ここまで所蔵しているのか」と思うくらい充実した内容でした。

 

橋本関雪の《意馬心猿》を始め、竹内栖鳳、菊池芳文、山元春挙、都路華香、入江波光などの作品が並びます。尚、コレクション展の解説は、スマートフォンの音声ガイドアプリを利用することができます。詳細は、京都国立近代美術館のホームページに記載されています。ここでは、橋本関雪の《意馬心猿》の解説がありました。

 

続く「生誕130年 野島康三の写真」は、絵画を意識させる写真作品を数多く制作した写真家・野島康三の作品が並びます。ヌード写真の金字塔とも呼べる「モデルF」シリーズも展示されています。ここでは、野島康三《細川ちか子氏》のアプリ解説がありました。

 

さらに、「近代工芸の花鳥風月」では、漆や蒔絵、刺繍、陶などの花鳥風月をテーマにした作品が並んでいました。特に、十二代西村總左衛門《孔雀図刺繍屏風》と作者不詳《鳩図四曲屏風》の刺繍作品は、驚くばかりの完成度でした。ここでは、並河靖之《桜蝶図平皿》のアプリ解説があります。

 

「日本洋画と装飾性」では、岸田劉生《麗子弾絃図》や藤田嗣治《タピスリーの裸婦》、藤島武二《山上の日の出》などが展示されていました。個人的には、牛島憲之の《炎昼》が気に入りました。ここでは、岸田劉生《麗子弾絃図》のアプリ解説があります。

 

やはり、大型美術館の場合は、友の会の会員になっているほうが便利ですね。私は、大阪の国立国際美術館の友の会(一般会員3,000円/年)に入っているので、国立国際美術館だけでなく、京都国立近代美術館の企画展(1回目無料/2回目以降団体料金)やコレクション展(常時無料)もお得に利用することができます。定期的に美術鑑賞されている方にはお薦めです。

<公式ガイドブック>

国立美術館ガイド2 では、平安神宮の朱色の大鳥居のすぐ隣に位置する京都国立近代美術館を紹介。古都の景観にマッチした、モダンな建物も見どころの一つ。陶芸や染織などの伝統工芸を核に、充実を図ってきた多様な工芸ラインナップをはじめ、京都画壇の華麗なる歴史が一望できる日本画家、洋画壇の重鎮など、関西ゆかりの作家を中心としたコレクションは秀逸そのもの。国内・海外の作家による、近・現代の話題の名作もお見逃しなく。(アマゾンの商品紹介より)



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2019年12月13日|ブログのカテゴリー:2019年投稿, 展覧会レビュー