【感想】「富野由悠季の世界」(兵庫県立美術館、2019/10/12~12/22)レビュー

兵庫県立美術館で開催されている「富野由悠季の世界」(会期:2019年10月12日~12月22日)に行ってきました。この展覧会は、ガンダムシリーズを始めとする国内外のアニメーションに大きな影響を与えてきた富野由悠季さん(1941-)のこれまでの仕事を振り返る内容になっています。ガンダムファンにとっては願ってもない展覧会企画ではないでしょうか? 来られている方を見ても、従来の美術館ファン層とは大きく異なり、平日にも関わらず圧倒的に男性が多い印象でした。勿論、女性も来られていましたが若い女性が中心でした。

兵庫県立美術館「富野由悠季の世界」兵庫県立美術館「富野由悠季の世界」

 

今回の展覧会は巡回展で、福岡市美術館(2019年6月22日~9月1日)を皮切りに、今回の兵庫県立美術館、島根県立石見美術館(2020年1月11日~3月23日)、青森県立美術館(2020年4月18日~6月21日)、富山県美術館(2020年7月18日~9月6日)、静岡県立美術館(2020年9月19日~11月8日)と、全国6会場を巡ります。

 

この展覧会を鑑賞するにあたっては、注意点があります。それは鑑賞時間の設定です。通常の展覧会であれば、1~2時間程度あれば一通り鑑賞できます。しかし、今回の展覧会は、大量の資料だけでなく映像作品も展示されているので、フルに鑑賞しようとすれば、一日がかりになるのは必須です。もしあなたが熱心なガンダムファンであれば、鑑賞用に十分な時間とグッズを購入するための十分なお金を準備されることをお勧めします。

 

展覧会の構成と展示されている主な作品は以下のとおりです。

 

プロローグ

第1部 宇宙(そら)へあこがれて
・富野の幼少期から大学生までの作品
・鉄腕アトム
・海のトリトン
・勇者ライディーン
・無敵超人ザンポット3

第2部 人は変わってゆくのか?
・機動戦士ガンダム
・伝説巨神イデオン

第3部 空と大地の間で逞しく
・無敵鋼人ダイターン3
・戦闘メカ ザブングル
・OVERMAN キングゲイナー
・しあわせの王子
・ラ・セーヌの星
・闇夜の時代劇・正体を見る

第4部 魂の安息の地は何処に?
・聖戦士ダンバイン
・バイストン・ウェル物語 ガーゼイの翼
・リーンの翼
・重戦機エルガイム

第5部 刻の涙、流れゆくその先へ
・機動戦士 Z ガンダム
・機動戦士ガンダム ZZ
・機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
・機動戦士ガンダム F91
・機動戦士 V ガンダム
・ブレンパワード

第6部 大地への帰還
・∀ガンダム
・ガンダム G のレコンギスタ

 

ここで個々の展示内容に関するレビューはできませんが、いくら時間があっても足りない充実度です。最初の第1部や第2部あたりで時間を掛けすぎると、疲れてしまってその後が駆け足となってしまいますので、ご注意ください。特に興味のある部に焦点を絞って鑑賞するのも良いかもしれません。映像作品を見るための椅子が用意されているブースもあるので、そこで休憩を取りながら見ることも可能です。

 

一方、特にダンダムファンではない方が、従来の美術展覧会のつもりで来らると若干肩透かしを覚えるかもしれません。展示内容が絵コンテやシナリオ、映像などがメインなので、知らないアニメを延々と眺めることになるでしょう。ただ、こうしたアニメに関わる方々が、見えないところでいかに多くの時間と労力をかけて作品に取り組んでおられるかという事実に驚かれると思います。私も、ここまで深く考えて制作されていたのかと思い知らされました。

 

そして、今回はグッズもかなり充実しており、図録は4,000円(税抜)という充実度です。ただし、そこまでお金が出せないという方には、展覧会開催記念パンフレットが1,800円(税抜)で販売されているので、こちらがお勧めです。私が行ったときは、こちらのパンフレットを購入されている方が多い印象でした。他にも、展覧会開催記念ガンプラや文房具ベンチャーHI MOJIMOJIとのコラボ・グッズ、キーホルダー、Tシャツなど、多様な商品が並んでいました。ガンダムファンの方は、お見逃しなく。

2020年01月04日|ブログのカテゴリー:2020年投稿, 展覧会レビュー