【感想】「無言館 遺された絵画からのメッセージ」(神戸ゆかりの美術館、2020/9/12~11/29)レビュー

神戸ゆかりの美術館で開催されている「無言館 遺された絵画からのメッセージ」(会期:2020年9月12日~11月29日)に行ってきました。この展覧会では、長野県上田市にある戦没画学生慰霊美術館「無言館」に所蔵されている約130点の作品が展示されています。

神戸ゆかりの美術館「無言館 遺された絵画からのメッセージ」神戸ゆかりの美術館「無言館 遺された絵画からのメッセージ」

 

これらの作品の中には、神戸市出身の桑田一彦、杉原基司、前田美千雄、芦屋市出身の岡田弘文、大阪市出身の田中角治郎たちの作品も含まれています。平日の鑑賞でしたが、思った以上の鑑賞者が来館していました。やはり、こうしたテーマの展覧会企画には人々の心を動かすものがあるのでしょう。

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

 

第1章 望郷
第2章 家族
第3章 自我
第4章 恋
第5章 夢

 

作品の展示と共に、戦没画学生たちの遺品となった手紙や写真なども展示されていました。戦没画学生ということで、勝手に若い学生をイメージしていましたが、実際は立派な青年たちでした。

 

展覧会では、「望郷」「家族」「自我」「恋」「夢」というテーマで括って、彼らの作品が展示されていました。戦没画学生ということを踏まえて鑑賞していますと、それぞれのテーマが深く心に迫ってきます。

 

印象に残る作品もたくさんありました。小野竹喬の長男・小野春男の作品も展示されていました。《屏風絵・茄子》は複製ではありましたが、流石の出来です。展覧会チラシの表紙を飾っている、興梠武の《編み物をする婦人》は、保存状態はあまりよくありませんが、やはり表紙を飾るだけの魅力を放っていました。

 

戦没画学生ということで、特別な思い入れを持って作品を見てしまいがちですが、ひとりの画家の作品として向き合うことも必要かもしれません。戦没者以外にも夭折した画家は数多くいます。例えば、山田かまちは17歳、関根正二は20歳、村山槐多は22歳、石田徹也は31歳、菱田春草は36歳で亡くなっています。

 

こうした短い人生を生きた画家たちの活躍を見るに付けても、ただ長生きをすれば良いというわけでなく、いかに自分の人生を輝かせるかが重要なのだということが思い知らされます。絵を通して彼らのメッセージを受け止めたいと思いました。

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2020年11月05日|ブログのカテゴリー:2020年投稿, 展覧会レビュー