音声ガイドって使ったほうが良い?

音声ガイドを使うメリット

比較的規模の大きな展覧会では、展覧会場の受付で音声ガイドを貸出するコーナーがあります。ただ、実際に音声ガイドを利用して鑑賞されている方は、それほど多くないような気もします。貸出価格は、通常500円~600円程度なので、入館料の半額程度と考えると意外と高い気がして利用されないのかもしれません。また、音声ガイドを利用していると、美術鑑賞の初心者のように見られがちなので、敬遠されているのかもしれません。

 

しかし、実際に展示会場に入って鑑賞していると、たまにこうした声が聞こえてくることがあります。監視員に対して「あれはどこで貸して貰えるんですか?」という質問、あるいは独り言のように「音声ガイドがないと、ぜんぜん絵の意味がわからない」といった不満の声…

 

私は、音声ガイドが用意されている展覧会では、できる限り借りるようにしています。というのも、一度その魅力を知ってしまうと止められなくなってしまうからです。では、音声ガイドを使うメリットとは一体何でしょうか?

 

例えば、展示会場に入ると、最初にその展覧会の意味や趣旨が書かれた大きな解説パネルが目に入ります。そして、進んでいくと展覧会の各章ごとにも大きな解説パネルが設置されています。さらには作品ごとにもキャプションと呼ばれる簡単な解説文が掲載されています。

 

しかし、これらをすべて読んで理解するのは結構大変なのです。人が少ない閑散とした会場であればまだ良いのですが、人気の展覧会であれば次々と人が押し寄せてきて、とても立ち止まってゆっくり読み続けることはできません。そんなときに威力を発揮してくれるのが音声ガイドなのです。

 

まるで、美術に詳しい学芸員が隣で解説してくれながら一緒に歩くようなもので、これほど快適な美術鑑賞はありません。入り口の解説パネルを読まなくても、プロローグと呼ばれる導入解説を聞くだけで、その日の展覧会の趣旨が簡単につかめてしまいます。また、個別の作品解説に関しても、すべての作品に対してではなく、重要な作品に絞って解説されているので、そうした作品を中心に鑑賞していくだけで、おのずとその展覧会の重要ポイントを押さえることができるのです。

 

さらに音声ガイドは、自分の鑑賞ペースに合わせて再生ボタンを押して聞くだけなので、実に優雅な鑑賞タイムを堪能できるのです。そして、気になる作品に関しては、繰り返し解説を聞いて愉しむこともできます。


音声ガイドを使うデメリット

以上、音声ガイドを使うメリットについて述べてきましたが、勿論、音声ガイドを使うデメリットもあります。まず、有料であることが最大のネックでしょう。そして、再生時間のトータルが約35分程度あるため、音声ガイドを使用しないときと比べると、おのずと鑑賞時間が長くなってしまいます。

 

なので、鑑賞時間を十分に確保できないときは、音声ガイドの利用はあまりお勧めできません。また、極端に混み合っている展覧会でも利用しにくいところがあります。というのも、ひとつの作品の前で立ち止まり続けるわけにも行かず、解説が終わる前に次の作品に移らざるを得ないことがあるからです。そうしたときは、あらかじめ該当作品の少し手前から再生ボタンを押すようにして早めに聞き始めることがポイントになります。

 

また、友人と一緒に展覧会に来ている場合も不便なところがあります。友人も一緒に借りているケースは良いのですが、一方だけが借りている状態だと、途中で話しかけられたりすると困ってしまいます。なので、基本的にはひとり観賞用のグッズなのかもしれません。

 

また、年配の方であれば、音声ガイドの使い方が難しいのではないかと不安に思われるかもしれませんが、慣れれば決して難しいものではありません。ただ、展覧会ごとに異なるタイプの音声ガイドを使うので、若干操作方法が異なるタイプもあります。最も多いのはヘッドホンタイプか片耳のイヤホンタイプですが、たまに、電話機のように耳に当てて聞くタイプもあります。

 

以上、音声ガイドを使うことのデメリットについても述べてきましたが、やはり、それらを踏まえても、可能な限り音声ガイドは利用されたほうが楽しめると思います。絵画や彫刻などの作品を観るときに、音声での解説や心地よいBGMがあると、何とも優雅で贅沢なひとときを満喫できるだけでなく、美術鑑賞の思い出がより一層深く心に刻まれているような気がするのです。