【感想】「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」(大阪市立美術館、会期:2021/11/13~2022/1/16)レビュー

展覧会の概要

大阪市立美術館で開催されている「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」(会期:2021年11月13日~2022年1月16日)に行ってきました。この展覧会では、ニューヨークにあるメトロポリタン美術館のヨーロッパ絵画部門から選ばれた、初期ルネサンスからポスト印象派にわたる作品65点が展示されています。そのうち46点が日本初公開となります。

 

世界的な新型コロナウィルス感染拡大の影響で、海外の美術作品が国内に入って来なくなり、海外の美術館が所蔵する作品を観る機会がめっきり減ってしまいました。そうした状況で、世界三大美術館の一つに挙げられるメトロポリタン美術館の名画コレクションが鑑賞できる、非常に注目すべき展覧会になりました。

大阪市立美術館「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」大阪市立美術館「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」

 

展覧会の構成

Ⅰ 信仰とルネサンス
Ⅱ 絶対主義と啓蒙主義の時代
Ⅲ 革命と人々のための芸術

 

感想①「信仰とルネサンス」

この展覧会では各年代ごとに作品が展示されており、15世紀前半の初期ルネサンス作品からスタートします。

 

「Ⅰ 信仰とルネサンス」では、十字架に架かったイエスの体からほとばしる血を杯で受け止めようとする天使を描いた、フラ・アンジェリコ《キリストの磔刑》や、迫り来る死を目前に祈るイエスと眠り込んでしまう弟子たちを描いた、ラファエロ・サンツィオ《ゲッセマネの祈り》など、キリスト教関連の作品も見応えがありました。

 

一方で、ピエロ・ディ・コジモ《狩りの場面》という作品は、異色の内容でかなりの衝撃度です。人間や動物だけでなく、角を生やした人獣なども登場しています。動物たちは互いに咬み合い、それを仕留めようとする人々、横たわる死体など、混沌とした狩りの様子が描かれていました。

 

感想②「絶対主義と啓蒙主義の時代」

「Ⅱ 絶対主義と啓蒙主義の時代」では、見逃せない作品が目白押しです。毒蛇に自分の体を噛ませようとする様子を描いた、グイド・カニャッチ《クレオパトラの死》では、官能的でもあるクレオパトラの姿が印象的でした。

 

猫にザリガニを近づけて、いたずらをする子どもを描いた、アンニーバレ・カラッチ《猫をからかう二人の子ども》には、思わず笑ってしまいました。一方、図録の表紙にも採用されている、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール《女占い師》では、小賢しい人間が持つ心の醜さが描かれています。

 

さらに、ヨハネス・フェルメール《信仰の寓意》も登場します。この作品は、風俗画を描くことが多いフェルメールにしては珍しく、“信仰”をさまざまな観点からシンボリックに描いています。謎解きを楽しむこともできる作品になっていますね。

 

ジョシュア・レノルズ《レディ・スミスと子どもたち》に描かれた黒髪の女の子の微笑みは、私の心を射止めました。何度も観たくなる笑顔です。

 

感想③「革命と人々のための芸術」

「Ⅲ 革命と人々のための芸術」では、オウィディウスの『変身物語』を題材にした、ジャン=レオン・ジェローム《ピュグマリオンとガラテア》が登場します。自ら制作した彫像の女性を愛してしまい、思わずキスをするとその彫像に生命が吹き込まれたという、何とも感傷的な物語ですね。

 

エドガー・ドガ《踊り子たち、ピンクと緑》では、緑の衣装を身につけた踊り子たちの様子が何とも可憐で美しいですね。一方、クロード・モネ《睡蓮》は、日本初公開の作品でした。この作品では、睡蓮に白い根が描かれていて、これまでに観てきた他の《睡蓮》とは随分印象が異なりました。

 

感想メモ

この展覧会は巡回展で、大阪市立美術館の後は、国立新美術館で開催(会期:2022年2月9日~ 2022年5月30日)される予定です。間違いなく、今年から来年に掛けて開催される注目の美術展の一つでしょう。現在、メトロポリタン美術館ではギャラリーを改修中で、それを契機に実現した美術展でもあります。

 

気になるのは、混雑状況ですね。大阪市立美術館では、混雑を避けるため日時指定予約優先制が採用されています。私は、会期の中頃の平日に行きましたので、予約をせずに行きましたが受付で並ぶこともなく鑑賞することができました。展示会場の中では、行ったり来たりしながら繰り返し観賞されている方が多かったですね。

 

ただ、週末や会期が終わりに近づくにつれ、かなりの混雑が予想されます。待機列用の足型が、美術館の入り口からかなり遠くまで用意されていましたので、予約を含めて早めの観賞をお勧めします。

大阪市立美術館「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」

 

美術館情報

メトロポリタン美術館展

会場:大阪市立美術館
会期:2021年11月13日(土)~2022年1月16日(日)
休館日:月曜日(1月10日(月・祝)は開館) 年末年始(2021年12月30日(木)~2022年1月3日(月))
観覧料:2,100円(一般)
音声ガイド:600円(俳優:佐々木蔵之介)
写真撮影:不可
図録:2,900円
Web:大阪市立美術館「メトロポリタン美術館展」
公式サイト:メトロポリタン美術館展
2021年12月23日|ブログのカテゴリー:2021年投稿, 展覧会レビュー