【感想】「いきものがたり ~十二支になったいきものと、なれなかった猫たち~」(嵯峨嵐山文華館、2020/8/1~10/11)レビュー

嵯峨嵐山文華館で開催されている「いきものがたり ~十二支になったいきものと、なれなかった猫たち~」(会期:2020年8月1日~10月11日)に行ってきました。嵯峨嵐山文華館と福田美術館とは歩いて数分の距離にあります。両館の共通券も販売されていますので、これを利用すれば両館で開催されている展覧会をお得に鑑賞することができます。

嵯峨嵐山文華館嵯峨嵐山文華館いきものがたり ~十二支になったいきものと、なれなかった猫たち~

 

今回は、十二支になったいきものたちと、なれなかったいきものたちに焦点を当てた展覧会になっています。展覧会の構成は以下のとおりです。

 

第1章 十二支に選ばれたいきものたち
第2章 十二支に選ばれなかった猫たち
第3章 嵐山の周辺に棲むいきものたち

 

第1章では、十二支にちなんだ動物たちが描かれた作品が展示されています。十二支というのは、子(ね:ねずみ)、丑(うし)、寅(とら)、卯(う:うさぎ)、辰(たつ)、巳(み:へび)、午(うま)、未(ひつじ)、申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)、亥(い:いのしし)のことですね。

 

これらの作品のなかで特に印象に残ったのは、まず、大橋翠石による《猛虎之図》です。「虎の翠石」と呼ばれるだけあって見事な虎を描いています。それから、葛蛇玉、維明周奎賛《蛇玉図》では、玉を咥えた蛇が描かれていますが、これは「蛇が玉を咥えて来る夢を見て、目覚めるとそこに玉があった」という画家自身の実体験をもとに描かれたようです。

 

テナガザルを描いた、橋本関雪の《睡猿》も味わいがありました。小茂田青樹の《椿と鶏》は、椿の赤と鶏のトサカの赤が呼応した美しい作品になっています。そして、猿を描いた森祖仙の《親子猿図》は、植物と猿の毛並みの描き方が絶妙で、流石の出来栄えでした。

 

ここからは、入り口で靴を脱いで、2階の畳ギャラリーでの展示を楽しむことになります。第2章では、十二支に選ばれなかった猫を描いた作品が展示されています。作品は120畳の大広間の周囲に展示されていましたが、不思議なくらい懐かしく寛げる空間になっていました。

 

ここでは、様々な猫を描いた作品が展示されていましたが、特に印象に残ったのが、加山又造の《猫ト牡丹》と《猫》でした。ここで描かれているのは、青い眼をしたヒマラヤンです。思わず引き込まれてしまう魅力を持った作品でした。

 

第3章は、嵐山の周辺に生息するいきものを描いた作品が展示されています。ただし、この中には嵐山ではみられないいきものも、こっそり隠れていました。ここでは、榊原紫峰の《柘榴栗鼠図》が特に良かったですね。また、松村景文の《合歓に双鷺図》も見事です。ちなみに、松村景文という方は、四条派の祖となった呉春の弟です。他にも、有名な画家たちによるコウモリや鹿、蟹、えび、カエルなどが描かれた作品が並んでいました。

 

嵯峨嵐山文華館では、各階の展示室入り口に駅の改札のようなゲートがあり、入館券に記載されているQRコードをかざすことでゲートが開くシステムになっていました。これなら、スタッフの削減とともに入場者の滞在時間も把握できそうですね。2階廊下には椅子が設置されていて、窓からの景色を楽しむことができるようになっています。癒やし効果のある美術館という印象を受けました。

 

本展覧会の図録や音声ガイドはありませんが、一部の作品を除いて写真撮影が可能になっていました。写真を撮る際には、解説パネルなども一緒に撮っておくと、後で振り返るときに役立つと思います。

2020年10月06日|ブログのカテゴリー:2020年投稿, 展覧会レビュー