【感想】「樋口一葉 その文学と生涯 貧しく、切なく、いじらしく」(姫路文学館、2020/10/3~11/23)レビュー

姫路文学館で開催されている「樋口一葉 その文学と生涯 貧しく、切なく、いじらしく」(会期:2020年10月3日~11月23日)に行ってきました。この展覧会は、通常の美術展ではありません。文学者・樋口一葉に関する展覧会になります。

樋口一葉 その文学と生涯 貧しく、切なく、いじらしく樋口一葉 その文学と生涯 貧しく、切なく、いじらしく

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

 

プロローグ

第一部「一葉文学の世界」

第二部「貧困の深淵から小説家へ」
 1 父の死により境遇激変
 2 小説家として歩み始める
 3 ますます困窮~龍泉寺町へ
 4 本郷丸山福山町へ

第三部「一葉をめぐる人々」
 1 萩の舎
 2 半井桃水
 3 「文学界」
 4 文壇の人々

第四部 生前唯一の単行本『通俗書簡文』~一葉の死後
 1 『通俗書簡文』
 2 一葉の死後

パネル展「もうひとりの明治の女性 姫路生まれの保育の先駆者 野口幽香」

 

上記構成のなかで、プロローグとパネル展は常設展料金で鑑賞できます。プロローグでは、樋口一葉略年表や転居地図といった基礎資料から、樋口一葉作品の現代語訳シリーズや関連作品の展示がありました。

 

一方、パネル展では、同じ明治の時代を生きた姫路出身の野口幽香(のぐちゆか)を取り上げて紹介しています。野口幽香は、日本の保育事業に新たな道を切り開いたことで知られる方です。

 

第一部から第四部が、今回の「樋口一葉 その文学と生涯 貧しく、切なく、いじらしく」のメイン展示となります。第一部では、「大つごもり」や「たけくらべ」「にごりえ」「十三夜」といった代表作の原稿や図版が、作品のあらすじとともに展示されていました。

 

第二部では、樋口一葉の生涯をなぞりつつ、折々の作品の原稿や日記、書簡などが展示されていました。女戸主となって家族を支えつつ、貧しさとの戦いの日々が浮かび上がってきます。

 

第三部では、樋口一葉をめぐる人々として、和歌の師・中島歌子の歌塾「萩の舎」の人々や、朝日新聞の小説記者・半井桃水、「文学界」同人の人々、文壇の人々とのやりとりが、写真や書簡、雑誌、書籍を通して紹介されていました。

 

最後の第四部では、一葉の生前に唯一出版された単行本『通俗書簡文』が紹介されています。また、一葉の死後に刊行された全集や序文が展示されていました。他にも、一葉が愛用していた、硯や水差し、筆立て、文机、着物なども展示されていました。

 

他に、「朗読音声スポット」というところが数カ所あって、そこで一葉の日記の朗読音声が流れていました。現代文で書かれた日記の要約も掲示されていましたので、原文の朗読の意味がわかるようになっていました。

 

樋口一葉は24歳で夭折しましたが、その存在は現代にも大きく輝いています。母親から女性が学問を学ぶことを否定され、絶望した一葉ですが、そうした逆境が返って、彼女の文学者としての人生を輝かせたのかもしれません。

 

今回は、絵画や彫刻の展覧会ではなく文学者をテーマにした展覧会でしたので、とにかく展示会場で文章を読む機会が多かったですね。その分、展示スペースはあまり広くありません。いつもと違って少し戸惑いましたが、過去の偉人に学べる貴重な機会となりました。

 

本展覧会の図録は40ページの薄いパンフレットですが、展示会場でゆっくり読めなかった貴重な資料が掲載されているので、興味のある方にとっては必須の図録となるでしょう。価格は1,000円です。

2020年10月22日|ブログのカテゴリー:2020年投稿, 展覧会レビュー