【感想】「アール・ヌーヴォーの華 アルフォンス・ミュシャ展」(神戸ファッション美術館、会期:2021/11/20~2022/1/16)レビュー

展覧会の概要

神戸ファッション美術館で開催されている「アール・ヌーヴォーの華 アルフォンス・ミュシャ展」(会期:2021年11月20日~2022年1月16日)に行ってきました。この展覧会では、アール・ヌーヴォーの代表的アーティスト・アルフォンス・ミュシャ(ムハ)(1860-1939年)のポスターや装飾パネル、挿絵など約500点の作品が展示されています。

 

2019年に観賞した「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ――線の魔術」では、ミュシャ財団のコレクションやその影響を受けたマンガ作品などが中心でしたが、今回の展覧会は、OGATAコレクション、OZAWAコレクション、堺 アルフォンス・ミュシャ館などのコレクションが展示されていました。

神戸ファッション美術館「アール・ヌーヴォーの華 アルフォンス・ミュシャ展」神戸ファッション美術館「アール・ヌーヴォーの華 アルフォンス・ミュシャ展」

 

展覧会の構成

第1章 くらしを彩る装飾パネル
第2章 パリ時代の魅力的な商業ポスター
第3章 挿絵の魅力
第4章 装飾資料集、装飾人物集
第5章 ミュシャ(ムハ)とアメリカ
第6章 わが祖国チェコ
第7章 くらしの中で愛されるミュシャ(ムハ)

 

感想①「芸術の域に達した装飾パネル」

少し薄暗い展示会場に入るとミュシャの世界が満開でした。立ち並ぶ装飾パネルを見た瞬間、これは好き嫌いを超えて「誰が観ても美しいと感じるだろうな」と思わず微笑んでしまいました。それほどの完成度で、構図や人物画、周囲の装飾模様が見事に調和していました。

 

ミュシャは、「私は芸術のための芸術を創るよりも、大衆のための絵の制作者でありたい」という言葉を残していますが、まさにこの言葉を体現した作品ですね。大衆のために描いた絵が、まさに芸術の域に達しているのです。

 

商業用のポスターであっても、商品の広告という目的だけでなく、見る人を幸せにする力があるように感じました。この展覧会では、1点だけ写真撮影が可能でした。それが、ミュシャの出世作となった《ジスモンダ》です。

(アルフォンス・ミュシャ《ジスモンダ》)

 

感想②「ブロンズ像《ラ・ナチュール》」

《ラ・ナチュール》は、堺 アルフォンス・ミュシャ館が所蔵するブロンズ像で、何とも魅力的な作品でした。ずっと眺めていたい気分になりました。これは、1900年のパリ万博用に制作された作品で、全部で5体鋳造されたものの一つだそうです。

 

他にも、ミュシャの作品がパッケージに採用された香水の瓶や陶器、ビスケットやチョコレート、紅茶の缶など、100年以上前の容器が展示されていました。いかにミュシャのデザインが当時の人々の生活に浸透していたかがよく分かりますね。

 

感想③「挿絵のレベルが高い」

今回の展覧会で改めて感心したのが、挿絵のレベルの高さです。ミュシャは挿絵画家としてスタートしましたが、そこで経験を積み実績を出すことによって、ポスター画家としての大成につながったと言えます。

 

優れたデッサン力を背景に緻密な写実絵画を描く能力に秀でていたことは、数多くの挿絵を観るとよく分かります。一般的な画家であれば、ここから抽象絵画への道へ進むことも多いですが、ミュシャの場合はポスター画という、デザイン的により洗練された方向に進みました。

 

こうした背景には、ミュシャが大衆のために作品を制作したいという強い思いを持っていたということがあったのでしょう。こうした志が大きな成果へと導き、後世への大きな影響力につながっているのでしょう。

 

感想メモ

ミュージアムショップでは、公式図録も販売されていました。図録のタイトルは『アール・ヌーヴォーの華 アルフォンス・ミュシャ作品集』となっていて、初版が2016年4月になっていますので、かなり長期に亘って開催されている展覧会なのでしょうか。

 

展覧会情報

アール・ヌーヴォーの華 アルフォンス・ミュシャ展

会場:神戸ファッション美術館
会期:2021年11月20日(土)~2022年1月16日(日)
休館日:月曜日、12月29日~2022年1月3日、1月11日(ただし1月10日は開館)
観覧料:1,000円(一般)
音声ガイド:なし
写真撮影:1点のみ可能
図録:3,200円
Web:神戸ファッション美術館「アール・ヌーヴォーの華 アルフォンス・ミュシャ展」
2022年01月10日|ブログのカテゴリー:2022年投稿, 展覧会レビュー