「コレクション特集展示 ジャコメッティとⅡ」と聴講用ワイヤレス受信機を使った「ギャラリー・トーク」(国立国際美術館、2019/8/27~12/8)のレビューと感想

国立国際美術館では、「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」と同時に、コレクション特集展示「ジャコメッティとⅡ」(会期:2019年8月27日~12月8日)が開催されています。前回の「ジャコメッティとⅠ」に続いて、国立国際美術館が2018年にアルベルト・ジャコメッティのブロンズ彫刻《ヤナイハラⅠ》を収蔵したことを記念して開催された企画第二弾です。

「ジャコメッティとⅡ」(国立新美術館)

 

展示は全部で9室から構成されていました。

展示室1:当美術館所蔵のジャコメッティ作品2点と今村源などの作品が展示
展示室2:リュック・タイマンスなどの肖像画が展示
展示室3:ロレッタ・ラックス、ボリス・ミハイロフなどの写真作品が展示
展示室4:高松次郎の習作やオノデラユキの古着のポートレートなどが展示
展示室5:米田知子の眼鏡シリーズやラート・チャムルーンスックの作品などが展示
展示室6:テリーサ・ハバード/アレクサンダー・ビルヒラー《フローラ》が上映
展示室7:饒加恩(ジャオ・チアエン)《レム睡眠》が上映
展示室8:加藤翼、塩見允枝子(千枝子)、池水慶一、小沢剛の作品が展示
展示室9:ヒーメン・チョン《ショート・パフォーミング・ストーリー》の舞台

 

「ジャコメッティとⅠ」では、ジャコメッティと同時代に活躍した作家たちの作品が展示されていましたが、「ジャコメッティとⅡ」では、ジャコメッティの作品や作品への取り組み方において共通する視点を持った作品などが展示されていました。

 

展示室6では、テリーサ・ハバード/アレクサンダー・ビルヒラーによる《フローラ》という映像作品が上映されていました。これはジャコメッティの恋人で彫刻家のフローラ・メイヨの人生を描いた作品です。上映時間は約30分ですが、異なる映像が両面スクリーンで映し出されるので全編を見るためには約1時間かかります。

 

この映像作品は「ジャコメッティとⅡ」の中でも重要な作品なので、時間に余裕のあるときに鑑賞されると良いと思います。さらに、一枚の写真からジャコメッティの作品を復元した、テリーサ・ハバード/アレクサンダー・ビルヒラー《胸像》という作品も展示されていました。

 

今回は、「ジャコメッティとⅡ」専用の音声ガイド(300円)も用意されており、ガイド数は挨拶を含めて全14トラックありました。やはり現代美術系の展覧会は音声ガイドがあると非常に役立ちます。

 

さらに当日は、橋本梓主任研究員によるギャラリー・トーク(無料)もあったので、こちらにも参加してきました。国立国際美術館のギャラリー・トークは、希望者(先着90名)に聴講用ワイヤレス受信機が配られ、耳掛け式のイヤホンをつけて学芸員の解説を聞くことになります。参加者が多いときは非常に役立つシステムですね。ボリュームは各人で調節できるので、耳の遠い方でも聞きやすいと思います。

 

しかし、そうした便利なシステム以上に、ギャラリー・トークで話される内容が実に素晴らしいものでした。展示室1のジャコメッティの彫像《ヤナイハラⅠ》の前で、かなり長時間に渡って解説されていたので移動しないのかなと思っていたら、それは序の口で、次々と作品を観ながら詳細な解説が続きました。「ジャコメッティとⅡ」がどういう観点から構成された展示なのかもよくわかり、プロとしての学芸員の仕事を見た気がしました。当美術館のギャラリー・トークはお勧めです。

<公式ガイドブック>

国立美術館ガイド4 では、大阪屈指のオフィス街、中之島で、ユニークな存在感を放っている完全地下型美術館、国立国際美術館を紹介。主に1945年以降の作品を、世界各地から収集。なんとその数、約8,000点。ひときわ目をひく銀色のワイヤーフレーム。竹を編んだような柔軟さと開放感を持つ、このエントランス・ゲートからいざ地下へ。国内最大級の現代アートコレクションは、常に新鮮な魅力でいっぱいだ。(アマゾンの内容紹介より)



国立国際美術館の名作: 国立美術館初の公式ガイドブック
2019年09月27日|ブログのカテゴリー:2019年投稿, イベントレビュー, 展覧会レビュー