小磯記念美術館美術講座「西洋名画の見方5‐印象派からフォーブ(野獣派)の嵐へ‐」(館長・岡泰正)に参加

神戸市立小磯記念美術館で開催されている美術講座に参加しました。令和元年度の小磯記念美術館美術講座は、全6回で月に1回開催されます。10月18日に開催された第1回美術講座は、岡泰正館長による「西洋名画の見方5‐印象派からフォーブ(野獣派)の嵐へ‐」というタイトルの講座でした。

 

岡泰正館長は非常に気さくな方で、聞いていて思わず笑ってしまうような楽しい時間でした。冒頭で、今回は大学や大学院で講義するようなアカデミックな内容になります、ということでしたが、一般的な大学の講義のような堅苦しい雰囲気は全く無く、分かりやすくて楽しい美術講座でした。

 

講座のサブタイトルに「印象派からフォーブ(野獣派)の嵐へ」とありましたが、印象派に入る前に前提として知っておかなければいけないこととして、サロン展の流れについての話がありましたが、ここに力が入りすぎて肝心の印象派から野獣派(フォーブ)についての話は駆け足となってしまいました。来年も寿命があれば話をするとおっしゃっていたので、気長に待ちたいと思います。

 

印象派についての話で印象に残ったのが、印象派の画家たちは普仏戦争を実際に体験していて、仲間を戦争で失うなど暗い時代を生きていたにも関わらず、作品には、そうしたことを全く感じさせない明るい色彩を用いて光に満ちた作品を描いていたという話がありました。確かに、そうした時代背景を知らずに印象派の作品だけを観ていると、単なる明るい作品と捉えられがちですが、そうではなく、厳しい現実を知った上で、だからこそ敢えて明るい世界を描こうと苦戦していたんですね。

 

また、ナビ派が誕生するきっかけとなった、ポール・セリュジエがブルターニュを訪れたときに、ゴーギャンから指導を受けて描いた《護符(タリスマン)》という作品のエピソードについても話されていました。

 

こうした様々な美術史を知った上で作品を鑑賞できるようになると、これまでとは異なる観点から、より深く作品が鑑賞できるようになりそうですね。以前、兵庫県立美術館で開催されていた「怖い絵」展では、一見なんでもないように見える絵だけれど、その絵が描かれた背景を知ることで始めて「怖くなる絵」というものが紹介されていましたが、こうしたケースも同じでしょう。

 

芸術鑑賞の方法として、特に現代美術の鑑賞においては、先入観にとらわれないようにするため、作品名を「無題」とし、作家や作品の背景を知ることなくただ観て感じるだけで良いんだ、というものがありますが、やはりそれだけでは物足りないように感じます。

 

現実には、作家の個性や思想のみならず、作家の生きた時代の価値観も作品には流れ込んでいるでしょう。いかに、自分は時代の影響を受けずに作品を制作していると主張しても、それは不可能ではないでしょうか。しかし、そうした限定された環境の中で自分の色に染まった作品を創作するからこそ、面白みがあり、時代に合わせて絶えず芸術が変化し続けているんだと思います。

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2019年10月22日|ブログのカテゴリー:2019年投稿, イベントレビュー