「ショパン-200年の肖像」(兵庫県立美術館、10/12~11/24)のレビュー&感想

兵庫県立美術館で開催されている、日本・ポーランド国交樹立100周年記念 サンテレビ開局50周年記念「ショパン-200年の肖像」(会期:2019年10月12日~11月24日)に行ってきました。

 

今回は、ポーランド出身の作曲家フリデリク・ショパン(1810-1849)に関する展覧会です。美術館で作曲家を取り上げるとどうなるのか…という展覧会ですが、さまざまな画家が描いた肖像画やショパンの楽曲をイメージして描いた作品、ショパンの直筆の手紙、楽譜などが展示されていました。

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

 

第1楽章 私たちのショパン
第2楽章 ショパンを育んだ都市ワルシャワ
第3楽章 華開くパリのショパン
第4楽章 真実のショパン -楽譜、手紙-
第5楽章 ショパン国際ピアノコンクール

 

第1楽章では、ショパンの楽曲からインスピレーションを得た作品が多数展示されていました。ヴワディスワフ・ヤールによる《14のオリジナル・エッチング連作版画集》(1949年)、ローベルト・シュピースによる《24の前奏曲集 連作版画集》(1912年)、エウゲニウシュ・ピヘルによる《木版画による情景 連作版画集》(1965年)など、ショパンの楽曲に相応しい叙情的な作品が展示されていました。他にも、ショパンの肖像画やブロンズ作品、明治期に輸入された楽譜なども展示されていました。

 

第2楽章では、ショパンが育ったワルシャワがテーマとなっており、ショパン関連の人々の肖像画や建造物の絵画などが展示されていました。非常に複雑なワルシャワの歴史の変遷なども解説されていましたが、解説パネルをしっかり読んで理解しようとするとかなりの時間を要しますので、時間に余裕がない方は適宜スキップしてください。ここでは、ポーランドの歴史が学べます。

 

第3楽章では、ショパンのパリでの活躍に焦点が当てられています。この章では、かの有名なアリ・シェフェールによる《フリデリク・ショパンの肖像》が展示されていました。意外なことに、この作品は日本初公開となるようです。アリ・シェフェールはショパンの友人で、彼のアトリエには芸術家たちが集まり、ショパンやリストが演奏会を開いていたようです。このアリ・シェフェールのアトリエを描いた、アリ・ヨハネス・ランメによる《アリ・シェフェール邸(パリ、シャプタル通り16番)の小さなアトリエ》も展示されていました。他にも、ターナーやジェリコー、ドラクロワ、ドービニーの作品も展示されており、西洋絵画ファンにとっては嬉しい章になっていました。



アリ・シェフェール Ary Scheffer 「Francesca and Paolo in the Cyclone」 額装アート作品
アリ・シェフェール《パオロとフランチェスカ》の額装アートです。今回の展覧会では、この作品の下絵が展示されていました。

 

第4楽章では、様々な作家によるショパンの肖像画やデスマスク、ショパンの自筆譜や自筆の手紙が展示されていました。自筆譜と自筆の手紙に関しては、パネルを使った解説に続いて、別室の暗室内に実物が展示されていました。センサーを使って、鑑賞者が近づいたときだけショーケース内のライトが点灯するようになっていたので、厳重に管理されている様子が伺えます。これらの自筆譜や手紙も日本初公開となります。

 

第5楽章では、世界最高峰の音楽コンクールである、ショパン国際ピアノコンクールが取り上げられています。当コンクールの歴史や仕組みが解説されており、ポーランドを代表するグラフィックデザイナーによる当コンクールの歴代ポスターも展示されていました。また、2018年から始まったショパン国際ピリオド楽器コンクールについても紹介されていました。これは、ショパン当時の楽器を使って演奏するコンクールで、川口成彦さんが2位に入賞しています。

 

展覧会の最後は、ショパン国際ピアノコンクールを扱った、一色まこと原作の人気TVアニメ「ピアノの森」の展示もありました。一色まことさんは、19歳でショパン国際ピアノコンクールで優勝したスタニスラフ・ブーニンの演奏を観たことがきっかけで、ショパン国際ピアノコンクールを扱った漫画を描かれたそうです。このように、現在にもさまざまな影響を与えているショパンの人となりを感じることができる展覧会になっていました。

 

「ショパン-200年の肖像」は、今後、久留米市美術館(会期:2020年2月1日~3月22日)、練馬区立美術館(会期:2020年4月~6月)、静岡市美術館(会期:2020年8月~9月)と巡回します。今回の展覧会に連動して制作された書籍・CDが展覧会場で販売されていましたが、下記から通販でも購入できます。



ショパン―200年の肖像
ポーランドで国宝級の貴重品である門外不出のショパン自筆譜2点「エチュード ヘ長調 作品10-8」、「ポロネーズ ヘ短調 作品71-3」、自筆の手紙4点は、たいへん貴重な資料です。また、教科書などにも掲載されていてあまりに有名な、アリ・シェフェールのショパンの肖像画ももちろん掲載されています。ショパンを目で楽しむビジュアル本です。




ショパンー200年の肖像(CD)
西村由紀江プロデュース。全曲解説付き!葉加瀬太郎、古澤巌他、日本を代表するインストレーベル“HATS"アーティスト豪華競演!ショパン名曲ベスト盤! 日本・ポーランド国交樹立100年周記念『ショパンー200年の肖像』展イメージ曲に「ノクターン [夜想曲 第2番 変ホ長調 作品9-2]/西村由紀江」が決定!
2019年10月24日|カテゴリー:2019年10月投稿, 展覧会