「生誕120年 文豪川端康成と美のコレクション展」その2(姫路文学館、9/14~11/4)のレビュー&感想

姫路市立美術館と姫路文学館で開催されている「生誕120年 文豪川端康成と美のコレクション展」(会期:2019年9月14日~11月4日)に行ってきました。ここでは、姫路文学館で開催されていた展覧会のレビューをします。

 

こちらの会場では、書や手紙、ポスター、写真がメインになっていて、他の作家との幅広い交流が伺える展示内容になっていました。川端康成が初恋の人・伊藤初代に宛てた未投函書簡や、川端康成コレクションの注目作品でもある国宝 浦上玉堂《凍雲篩雪図》など、貴重な作品が堪能できました。国宝 浦上玉堂《凍雲篩雪図》に関しては、会期中10日間限定の展示だったので、今回はそれに合わせて鑑賞計画を立ました。

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

 

第1章 文豪・川端康成 そのひととなりと作品
第2章 川端の見つめた伝統
第3章 川端コレクションと播磨
第4章 文豪たちの息づかい
第5章 文豪が愛した空間

 

第1章では、川端康成の初恋の人・伊藤初代との関係が赤裸々に明かされた手紙が多数展示されていました。伊藤初代の写真も掲載されており、川端康成が恋に落ちた気持ちがわかる気がしました。他にも、東郷青児の「恐るべき子供たち」絵葉書(1916年)や川端康成の著作や書などが展示されていました。



川端康成と伊藤初代―初恋の真実を追って
この恋愛が、孤独な青年を真の小説家に変えた。若き日の川端康成が愛し、初期文学のモデルとなった伊藤初代。初代宛ての未投函の手紙と往復書簡の発見が発端となり、川端文学を紐解きながら二人の恋とその後を辿る、長い旅が始まった。初公開の豊富な写真資料とゆかりの地の写真で綴る文学紀行。(「BOOK」データベースより)

 

第2章では、川端康成や与謝野晶子、良寛、隠元たちの書を中心に、ノーベル文学賞メダルやノーベル文学賞賞状の再現品も展示されていました。改めて、ノーベル文学賞受賞者なんだと再確認しました。ノーベル授賞式に出席した川端康成が、現地のインテリアショップに入り、受賞式典で手にした賞金の小切手を即現金化して購入したという椅子も展示されていました。川端康成コレクションが形成される様子がわかるエピソードです。

 

第3章は、川端康成と播磨地域とのつながりがテーマで、佐多稲子『レストラン・洛陽』のエピソードが紹介されていました。この作品は、川端康成の初恋の伊藤初代がモデルになっていたのですが、それを知らなかった川端康成がその作品を称賛していたという、運命的なものを感じます。この章では、岸田劉生《童女像(岸田麗子)》も展示されていました。

 

第4章では、さまざまな文豪たちとの交流がわかる書や手紙が並んでいました。太宰治、北原白秋、尾崎紅葉、武者小路実篤、夏目漱石、三島由紀夫、林芙美子、横光利一、坂口安吾、菊池寛、谷崎潤一郎、室生犀星、岡本かの子、瀬戸内晴美といった著名な文豪たちとの交流が実感できます。

 

第5章では、国宝 浦上玉堂《凍雲篩雪図》を中心に、渡辺崋山《桃花山禽双孔雀図》、池大雅の書、富岡鉄斎の書簡などが展示されていました。他に、川端康成が愛用していた筆や筆立、端渓硯、水滴なども公開されていました。川端康成の息づかいが感じられる展示内容になっていました。

 

以上、川端康成コレクションから、絵画を中心に展示した美術館会場と、手紙や書、愛用品などを中心に展示した文学館会場での2館共同企画となった今回の展覧会でしたが、川端康成の人となりがよくわかる企画でした。そして、その審美眼も見事でした。



巨匠の眼―川端康成と東山魁夷
往復書簡から明らかとなった川端康成と東山魁夷の魂の交流。美を愛して止まない川端の美術コレクションや国民画家東山魁夷の作品のほか、初公開となる東山の美術コレクションや新発見の川端コレクション、日本が誇る小説家川端の文学にまつわる貴重なエピソードなど大満足の充実度。どこから読んでも楽しめる決定版!(「BOOK」データベースより)

 

最後に、姫路市立美術館会場に掲示されていた、川端康成が東山魁夷の作品に関して述べた言葉をご紹介しておきます。

「もっとも高い芸術は、すべてそのように人の魂の底にしみて、霊を目覚めさせるものでなければならぬだろう。短い時間の美感に訴へるに終ってはならぬ。今日大方の芸術の命数も短くなった。東山さんの風景画は、おそらくもっとも永く生きまさる現代絵画と、私は信じる。」(川端康成)

2019年10月31日|カテゴリー:2019年10月投稿, 展覧会