「開館10周年記念 下村良之介 遊び礼讃」(BBプラザ美術館、11/19~2/16)のレビュー&感想

BBプラザ美術館で開催されている、2019年度企画展Ⅲ「開館10周年記念 下村良之介 遊び礼讃」(会期:2019年11月19日~2月16日)に行ってきました。この展覧会は、前期(11/19~12/22)と後期(1/7~2/16)に分かれていて、一部作品の展示替えがあります。尚、前期に鑑賞した方は、その時に購入したチケットを提示すれば後期も入館できます。

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

第Ⅰ期 たくましき創作活動(1946~1953)
第Ⅱ期 真性の鳥(1954~1962)
第Ⅲ期 堅固なるものへの求道(1963~1972)
第Ⅳ期 精神の飛翔(1973~1998)

 

順路が少し分かりにくかったのですが、基本的には制作年に従って展示されているので、下村良之介の創作活動の流れを大まかに掴めるようになっていました。パンリアル美術教会の創立会員でもあり、生涯に渡って同会に所属した下村の活動が俯瞰できる展覧会になっています。

 

第Ⅰ期の展示作品数は少ないですが、下村良之介の出発点が伺える貴重な展示でした。そして、第Ⅱ期に入ると下村良之介のトレードマークとも言える「鳥」を描いた作品が登場します。ただし、鳥と言っても明確な鳥ではなく、抽象的に描かれた鳥がメインです。しかし、この抽象的な鳥が何とも言えない心地よさと神秘性を感じさせてくれます。《様》や《印》では、使用している紙粘土の質感と抽象的な図形との調和が見事です。

 

第Ⅲ期の展示作品の中では、1966年に制作された《不詳(鳥不動)》が印象的で、重厚さが感じられる作品に仕上がっていました。そして、続く第Ⅳ期の作品群が今回の展覧会のメインとなります。

 

この時期の展示作品では、特に《月明を翔(ゆ)く》が見事でした。背景に描かれた月と、雲のようにも見える鳥との組み合わせが絶妙です。また、《湖面夕照》という作品で描かれた化石のような鳥の姿も興味深いですね。

 

下村良之介の本名は、最後の漢字一文字が異なる「下村良之助」ですが、解説パネルによると、この一字違いの名前が併存することに意味があったようです。水平思考と垂直思考を併せ持つことの重要性を意識し、特異性と共通性、主観と客観、非常識と常識、硬と軟、剛と柔というように、相反する2つの極を合体させることで、新たな作品を生み出そうとしていたようです。



酒呑童子 (京の絵本)
源頼光、碓井定光、卜部季武、渡辺綱、坂田公時、藤原保昌の6人が、大江山に棲んでいる酒呑童子という鬼を退治する話を、日本画の実力者・下村良之介が描き出す。美術本としても楽しめる京の歴史絵本。英文併記。94年刊の改訂版。

 

ショッピングコーナーには、今回の展覧会用の簡易パンプレットが300円で販売されていました。入館時に出品目録を記載した用紙はもらえるのですが、やはり画像が掲載されたパンフレットがあるのと無いのとでは大きな違いがあります。簡単なものでも良いので、こうしたパンフレットを販売してもらえると、後で展覧会を振り返ることができるのでありがたいですね。

2019年11月24日|カテゴリー:2019年11月投稿, 展覧会