【感想】「ストラスブール美術館展 印象派からモダンアートへの眺望」(姫路市立美術館、2019/11/12~2020/1/26)レビュー

姫路市立美術館で開催されている「ストラスブール美術館展 印象派からモダンアートへの眺望」(会期:2019年11月12日~2020年1月26日)に行ってきました。この展覧会は、ストラスブール近現代美術館のコレクションが中心となりますが、姫路市立美術館会場では、國富奎三コレクション寄贈25周年を記念して、ルノワールの《母性》とマティスの連作版画本『ジャズ』の全点を公開するコーナーも設けられていました。

 

尚、この展覧会は、宮城県美術館(2019年9月13日~11月4日)を皮切りに、姫路市立美術館、豊橋市美術博物館(2020年2月8日~3月29日)、いわき市立美術館(2020年4月11日~5月24日)、福岡県立美術館(2020年6月5日~7月19日)と巡回しています。

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

1章 印象派とポスト印象派
2章 近代絵画におけるモデルのかかわり
3章 アヴァン=ギャルド

 

1章は、さらに「印象派以前の風景画」「印象派と風景画」「筆触」と分かれています。印象派に先立つバルビゾン派から始まり、シスレーやモネなど印象派の作品やストラスブールゆかりの画家たちの作品が並びます。ポスト印象派としては、セザンヌやゴーギャン、マルタン、シニャック、ボナール、デュフィなどの作品が展示されていました。

 

この章では、印象派から、その次の世代となるポスト印象派への流れが、筆触の違いに注目しながら鑑賞することができます。筆触というのは、画面上に現れる肌の特徴のことですね。筆の使い方によって、荒々しくなったり、リズム感が生まれたり、不明瞭になったりとさまざまです。アカデミックなサロン絵画においては、筆触を無くすことが主流でしたが、その流れが大きく変わっていきます。

 

2章では、モデルが登場する近代絵画作品を中心に展示されていました。ここでは、人間の内面や神秘性を象徴的に表現する象徴主義のウジェーヌ・カリエールの作品が独特の世界観を示していました。褐色を主体とする靄のかかったような人物表現に、不思議な魅力を感じました。

 

アルザスの印象派と呼ばれたロタール・フォン・ゼーバッハの作品は、1章でも見事な風景画が展示されていましたが、2章では肖像作品が展示されていて、なぜか気になる作品でした。他にも、レンブラント風のレオン・オーネッカーの《少女》という作品も魅力的でした。

 

3章では、アヴァン=ギャルド(前衛)作品を「キュビスム」「抽象絵画」「シュルレアリスム」と三つの流れに分けて展示していました。ちなみに、2章から3章で展示されている、20世紀前半から後半にかけての作品群が今回の展覧会の注目ポイントかもしれません。というのも、印象派からポスト印象派あたりの画家の作品は、他の展覧会でもしばしば観る機会がありますが、それ以降の前衛作品を印象派の流れの延長線上として鑑賞する機会はあまりありません。

 

勿論、前衛芸術(既成の芸術概念や形式を否定し、革新的な表現を目指した芸術)と呼ばれる以上、印象派の作品とそれらの作品が直接繋がっているわけではありませんが、何らかの影響は受けているのは確実です。今回の展覧会は、そうした観点にも注目しながら鑑賞できる内容になっています。

 

解説付きで鑑賞したい方には、音声ガイド(600円)も用意されています。また、後で展覧会をじっくり振り返りたい方には、展覧会用図録(2,340円)がお勧めです。千足伸行さんの解説も分かりやすく、巻末には全作家と全作品の解説が付いています。

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2019年12月06日|ブログのカテゴリー:2019年投稿, 展覧会レビュー