【感想】小磯記念美術館美術講座「大正・昭和 神戸まぼろしの公会堂コンペ再現!展-貴重な設計原図を一堂に-の楽しみ方」(神戸ゆかりの美術館 学芸員・金井紀子)に参加

神戸市立小磯記念美術館で開催されている美術講座に参加しました。今回は、2019年度美術講座の第3回で、神戸ゆかりの美術館の学芸員・金井紀子さんによる「大正・昭和 神戸まぼろしの公会堂コンペ再現!展-貴重な設計原図を一堂に-の楽しみ方」でした。

小磯記念美術館美術講座「大正・昭和 神戸まぼろしの公会堂コンペ再現!展-貴重な設計原図を一堂に-の楽しみ方」(神戸ゆかりの美術館 学芸員・金井紀子)

 

この美術講座は、現在、神戸ゆかりの美術館で開催されている「大正・昭和 神戸まぼろしの公会堂コンペ再現!」展(会期:2019年11月23日~2020年3月8日)に関する講座で、その魅力を存分にお聞きしました。ちなみに、神戸ゆかりの美術館の学芸員は、現在、金井紀子さんお一人だけで、それで年4回の展覧会を企画運営されているそうです。驚きと共に、体力・精神面で心配になってきます。

 

それはさておき、今回の美術講座では、かつて、神戸市で大正期と昭和期の2回にわたって開催された、公会堂の設計競技(コンペ)についてのエピソードをお聞きしました。講座のタイトルに“まぼろしの”とあるように、いずれのコンペも入選者が発表されたにも関わらず、関東大震災や日中戦争、阪神大水害などの影響で実際には建設に至っていません。

 

大正期のコンペで一等を受賞したのは、前田健二郎(1892-1975)と岡田捷五郎(1894-1976)のコンビで、今も設計図の複写が残っていますが、これは大阪・中之島の大阪市中央公会堂に非常に似ています。それもそのはずで、大阪市中央公会堂の設計をしたのが、岡田捷五郎の兄である岡田信一郎だったというエピソードにも納得です。

 

◆大阪市中央公会堂

小磯記念美術館美術講座「大正・昭和 神戸まぼろしの公会堂コンペ再現!展-貴重な設計原図を一堂に-の楽しみ方」(神戸ゆかりの美術館 学芸員・金井紀子)

 

美術館で公会堂の設計図が展示されるというのも不思議な感じがしないわけではありませんが、設計図を通して神戸の知られざる歴史に焦点を当てようとする金井さんに学芸員の心意気を感じます。大阪の国立国際美術館でも、今年の1月7日から「インポッシブル・アーキテクチャー ―建築家たちの夢」と題する展覧会が開催されますが、偶然なのか、こちらも幻の建築がテーマになっています。

 

今回の美術講座では、通常90分の講義のところ、60分で切り上げ、残りの時間は神戸ゆかりの美術館へ移動し、展覧会を鑑賞するというプログラムになっていました。美術講座の参加者には、受付で当美術館の無料観覧券がプレゼントされていました。同じ六甲アイランドエリアにある美術館同士だからこそできるお楽しみ企画でしたね。

2020年01月04日|ブログのカテゴリー:2020年投稿, イベントレビュー