【感想】「パリ、フランスへの憧れ」(神戸市立小磯記念美術館、2020/7/18~9/22)レビュー

神戸市立小磯記念美術館で開催されている、コレクション企画展示「パリ、フランスへの憧れ」(会期:2020年7月18日~9月22日)と、小磯良平作品選Ⅱ「終戦75年 従軍画家・小磯良平が見たもの」(会期:同上)に行ってきました。

 

コレクション企画展示「パリ、フランスへの憧れ」では、小磯良平や神戸にゆかりのある画家たちの滞仏作品が展示されていました。展覧会の構成は以下のとおりです。

 

コレクション企画展示「パリ、フランスへの憧れ」

Bienvenu! ようこそ!どうぞ
第1部 洋画家たちとフランス
・描かれたパリの風景・街景
・パリに集う人々 -画家、モデル
・パリから地方へ -フランス各地の風景
・フランコフォニー -フランスと歴史、文化、言葉で繋がる国々にて

第2部 小磯良平とフランス
・神戸ニ中・東京美術学校時代の小磯良平、フランスへの憧れ
・小磯良平、最初の渡仏 1928-30年
・小磯良平とフランスで交流のあった画家たち
・小磯良平旧蔵のフランス絵画
・小磯良平、二度目の渡仏 1960年

 

小磯良平作品選Ⅱ「終戦75年 従軍画家・小磯良平が見たもの」

・大戦前夜の小磯芸術
・日中戦争と小磯良平
・太平洋戦争と小磯良平
・戦時下を生きた画家として
・終戦、罹災からの再出発

 

コレクション企画展示「パリ、フランスへの憧れ」は、小磯良平《さより》、西村功《ようこそ!どうぞ》、小磯良平《青衣の女》からスタートします。そして、林重義や田村孝之介、関口俊吾、網谷義郎、角野判治郎、古家新、中西勝たちの作品が続きます。

 

中でも、印象的だったのは、関口俊吾が描いた明るい色彩の風景画《パリ、リュクサンブルグ》《パリ、モンマルトル》、田村孝之介《バスティーユ風景》、古家新《ボートのある風景》、網谷義郎《バラード邸の庭》、西村功《メトロホームの人たち》といった作品でした。

 

そして、中西勝の強烈な個性が光る《黒い聖母子》につづく、《マラケッシュ裏通り》も味わい深い作品でした。中西勝の作品は、フランコフォニーのモロッコ・コーナーに展示されていました。

 

さらに、小磯良平旧蔵のフランス絵画も興味深かったです。藤島武二から譲られたという、モーリス・アスラン《横臥裸婦》や、アマン・ジャン《ギリシア人》、ラファエル・コラン《人物》《婦人》、ジョルジュ・ブラック《ジャック・ヴィヨンによる版画 静物》など、貴重な作品を観ることができました。

 

一方、小磯良平作品選Ⅱ「終戦75年 従軍画家・小磯良平が見たもの」では、兵士たちの素描などが展示されていましたが、それ以外に、軍部関連の貴重な資料も展示されていました。こうした資料がしっかり残っているところからも、小磯良平の几帳面な性格が窺えます。

2020年09月02日|ブログのカテゴリー:2020年投稿, 展覧会レビュー