【感想】「ING 兵庫県美術作家 2019 展」(兵庫県立美術館、2019/6/6~6/15)レビュー

兵庫県立美術館のギャラリー棟3Fで開催されている「ING 兵庫県美術作家 2019 展」を覗いてきました。この展覧会は、兵庫県内で活躍している美術家たちによる展覧会で、今回の展覧会は、来年1月29日(水)から2月2日(日)に原田の森ギャラリーで開催予定の「ING 兵庫県美術作家 2020 展」のプレ作品展となります。

兵庫県立美術館兵庫県立美術館「ING 兵庫県美術作家 2019 展」

 

受付で、案内されるまま名前と住所を書きましたが、これは自由だったのかもしれません。展覧会場は広い空間の中央をパーテーションで大きく2つに区切ったシンプルな構成でした。全体的に大作が多く、事前にパンフレットでイメージしていたよりも豪華な内容でした。若干、展示会場が狭かったためか、溢れた作品が入り口の外にも展示されていました。

 

展示作品のなかで特に印象に残ったというか、気に入ったのは、井澤幸三さんの「Seeds」と「燈花会」でした。少女の姿と不思議な世界観が組み合わさった独特の雰囲気を持つ作品でした。他にも少女を扱った作品に、渡邉明さんの作品がありましたが、こちらは少女たちを少し荒いタッチで描いており、青春の汗と甘酸っぱさを感じさせる魅力的な作品でした。さらに緻密に描けば、ホキ美術館的な写実絵画になるようなポージングが印象に残りました。

 

他にも、エアーブラシを利用した山口敏行さんの作品や、幻想的な多重遺跡を描いた花房完昇さんの作品、熱田守さんの躍動感あふれるダチョウの姿を描いた作品、フォービスムを超える強烈な色彩が特徴的な北山義明さんの作品など、普段目にすることのないタイプの絵画が並んでおり、今後の展開が楽しみになりました。

 

今回の展覧会は、有名画家たちの作品を中心に展示する従来の成果主義的(観客動員数を重視)な展覧会への挑戦という意味も込められており、地域で活動している美術家たちの姿や作品も知ってほしいという強い思いが伝わってきました。実際、今回の展覧会を通して、後世に残る作品とそうではない作品の違いは一体何だろうかと改めて考えさせられるところがありました。

 

2019年06月13日|ブログのカテゴリー:2019年投稿, 展覧会レビュー