【感想】「日本のアニメーション美術の創造者 山本二三展 -天空の城ラピュタ、火垂るの墓、もののけ姫、時をかける少女-」(植野記念美術館、2020/7/18~9/13)レビュー

植野記念美術館で開催されている「日本のアニメーション美術の創造者 山本二三展 -天空の城ラピュタ、火垂るの墓、もののけ姫、時をかける少女-」(会期:2020年7月18日~9月13日)に行ってきました。この展覧会は全国巡回中の人気展覧会で、既に累計入場者数が70万人を超えているそうです。

 

山本二三さんは、日本アニメーション界を陰で支えている美術家で、名作アニメの背景画を数多く手がけておられます。展覧会では、誰もが知っているような名作アニメで使用された背景画の数々が展示されており、改めて日本アニメのレベルの高さを思い知らされた気がしました。

 

展覧会の構成は、各アニメごとに分類され、そこで使用された背景画やイメージボード、挿絵、ポスターなどが展示されていました。ここでは参考までに、展示されている作品グループの名称を記載しておきます。

 

<アニメなどの名称>

未来少年コナン
ルパン三世
名探偵ホームズ
じゃりン子チエ
火垂るの墓
はとよ、ひろしまの空を
金の小鳥
おにぎりころりん
教科書用挿絵
天空の城ラピュタ
Coo 遠い海から来たクー
ファンタジックチルドレン
タイコンデロンガのいる海
くじらぐも
おおかみと7ひきの子やぎ
NEMO/ニモ
かちかち山
川の光
もののけ姫
ミヨリの森
あらしのよるに
宇宙ショーへようこそ
くまのがっこう~ジャッキーとケイティ
無告の森
ハイドュナン
グスコーブドリの伝記
時をかける少女
世界樹の迷宮Ⅳ 伝承の巨神
歩き屋フリルとチョコレートきしだん
盛岡 温泉地ポスター
天上大風~わたしが出遭った良寛さま~
屋久島
菩提樹の春夏秋冬
肖像
希望の木
DVD付き絵本 希望の木
ふるさとの郷里を描く
マリア像と長崎の夜

 

全体的にレベルの高さに驚きました。火垂るの墓では、多数のイメージボードやカラーボード、背景画、美術設定が展示されていましたが、いずれも驚くばかりの出来栄えです。作品を鑑賞しながら、通常の絵画とアニメの背景画との違いは何だろうか、と考え続けていました。

 

ある意味でイメージボードと呼ばれる作品が、通常の絵画作品に近いようにも思えました。しかし、アニメの背景画として使用するためには、かなりの写実性が要求されるため、そうしたイメージボードを元に、さらに緻密に描き込む必要があります。ですので、こうした背景画では絵画センスだけでなく、かなりの技術力も要求されます。ある意味で職人的な仕事なのかもしれません。

 

他にも、「もののけ姫」や「かちかち山」「時をかける少女」「グスコーブドリの伝記」「菩提樹の春夏秋冬」など、見応えのある作品が並んでいました。また、山本二三インタビュー映像(約5分)も公開されていました。作品の魅力は、図録でもしっかりと確認できます。展示会場で販売されていますので、ご興味のある方はお求めください。価格は2,000円でした。

2020年09月06日|ブログのカテゴリー:2020年投稿, 展覧会レビュー