【感想】「京(みやこ)のくらし――二十四節気を愉しむ」(京都国立近代美術館、2020/7/23~9/22)レビュー

京都国立近代美術館で開催されている「京都国立近代美術館所蔵作品にみる 京(みやこ)のくらし――二十四節気を愉しむ」(会期:2020年7月23日~9月22日)に行ってきました。この展覧会は、季節区分として古来より使用されてきた二十四節気(にじゅうしせっき)に沿って、京都のくらしを再確認してみようという企画展です。展示作品は、京都国立近代美術館所蔵作品から厳選された美術・工芸作品、映像資料からなります。

京(みやこ)のくらし京(みやこ)のくらし

 

今回の展覧会では、スマホアプリを利用した音声ガイドが無料で利用できましたので、チャレンジしてみることにしました。利用方法は簡単で、あらかじめスマホで“Caralog Pocket”というアプリをダウンロードしておき、会場でそのアプリを起動させます。そして、「京のくらし-二十四節気を愉しむ」を選択し、後は作品番号をタップするだけです。ただし、館内で音を出すわけにはいきませんので、持参したワイヤレスイヤホンを利用しました。こうした一連の作業は自宅でもできますので、前もって練習しておくと会場で戸惑うことはないと思います。

 

⇒ 作品解説、音声ガイドアプリPDF(京都国立近代美術館)

 

さらに、この展覧会では一部の作品を除いて写真撮影が可能でしたので、1周目は音声ガイドを利用しながら作品をじっくり鑑賞し、2周目で写真撮影に勤しみました。ちなみに、他の来館者を見る限り、写真こそ一部の方が撮っていましたが、音声ガイドを利用している方は見かけませんでした。鑑賞者の年齢層が比較的高いこともあって、結構ハードルが高かったのかもしれません。というか、そもそもそういうサービスがあることすらご存じなかったのかもしれませんが・・・。

 

展覧会の構成は「二十四節気」に従っています。

 

初夏(立夏、小満)
仲夏(芒種、夏至)
晩夏(小暑、大暑)
初秋(立秋、処暑)
仲秋(白露、秋分)
晩秋(寒露、霜降)
初冬(立冬、小雪)
仲冬(大雪、冬至)
正月
晩冬(小寒、大寒)
初春(立春、雨水)
仲春(啓蟄、春分)
晩春(清明、穀雨)

 

今では、ほとんど使用されない季節用語もありますが、あらためて日本人であることの喜びを感じさせてくれる展覧会でした。パネル解説も、季節感溢れる情緒的で美しい言葉で綴られていました。

 

展示作品の作家については、知らない方も多かったですので、新たな発見がいろいろとありました。また、日本画、洋画、抽象画、彫刻、陶器、漆工、着物、刺繍、写真、映像など、広範な美術を扱っていましたので、多角的に鑑賞することができる展覧会になっています。

 

絵画では特に、福田平八郎《竹》《清晨》、伊藤久三郎《雨或いは感傷》、須田国太郎《動物園》《夜桜》、安井曾太郎《桃》、加藤京巌《しの田の森の秋宵》、上村松園《虹を見る》、岸田劉生《童女と菊花》、北脇昇《秋の驚異》、竹内栖鳳《枯野の狐》《おぼろ月》、小松均《もや》、堂本印象《冬朝》、秋野不矩《残雪》、不詳《清水寺図額》、藤田嗣治《アネモネ》などが印象に残りました。

 

刺繍では、不詳《藤に孔雀図刺繍壁掛》、陶器では、六代 清水六兵衛《睡蓮置物》《古稀彩弦月壺》、八木一艸《均窯金魚置物》、着物では、森口華弘《振袖「梅林」》が良かったですね。

 

他にも、気になる作品が幾つかありましたが、陶器や彫刻、漆工にも優れた作品が多いように感じました。また、作者不明(不詳表記)のなかにも良い作品があることが分かりました。尚、本展覧会の出品数はかなり多く、270点近くありましたので、自宅でじっくり愉しみたい方は図録(税込3,300円)を求められると良いでしょう。

2020年09月18日|ブログのカテゴリー:2020年投稿, 展覧会レビュー