西脇市岡之山美術館で開催されている「天国:寺門孝之」展(会期:2020年12月19日~2021年3月21日)に行ってきました。この展覧会は、画家・イラストレーターとして活躍されている寺門孝之氏の個展となります。
寺門孝之氏は、天使をテーマにした作品を数多く手がけておられますが、今回の展覧会では、愛嬌のあるドラゴンを扱った作品も展示されていました。
解説パネルに寺門氏のメッセージが掲載されていましたので、少し引用しておきましょう。「僕にとって『絵』は、この世に開くあの世の窓だ。なので、絵のむこう側からこちら側へと、あの世のなにかが染み込んで来るような状態に、僕の絵がなったらいいなと思って、これまで色々工夫を重ねて来た。」
展覧会の構成は以下のとおりです。
Ⅰ 第1室(1985年~1997年)
Ⅱ 第2室(2001年~2020年)
Ⅲ 第3室(2008年~2020年)
第1室では、「第6回日本グラフィック展」大賞を受賞された1985年以降の初期作品が展示されていました。寺門氏が描く天使は、古典的な天使像というより、スラッとした姿が印象的です。
第2室は、2000年代の作品が中心になります。ここでは、《闇の妹》と呼ばれる連作が印象的でした。黒を背景に着物を着た少女が描かれています。憂いと妖艶さを帯びた少女の姿が幻想的に描かれていました。
第3室では、麻布の一種であるリトアニアリネンを利用した作品を中心に、最新の作品が展示されています。このリトアニアリネンを利用した作品では、生地の表と裏から交互に描き進めるという独特の手法がとられていて、最終的にどちら側が表として採用されるかは、寺門氏自身にも分からないまま制作が進められたと言われています。
ここでは、第2室の《闇の妹》シリーズとは異なり、明るい天使が登場しています。アクリル絵の具で爽やかな天使たちが描かれていますが、水彩画のような境界線のはっきりしない柔らかい作風が印象的でした。