明石市立文化博物館で開催されている「生誕130周年記念 堂本印象展」(会期:2020年12月19日~2021年1月31日)に行ってきました。今回の展覧会は、京都府立堂本印象美術館が所蔵する作品を中心に、堂本印象の生涯が俯瞰できる内容になっていました。
展覧会の構成は以下のとおりです。
第1章 画壇デビュー前
第2章 絵描きとなって
第3章 豊かなる表現
第4章 戦後の模索
第5章 新たな表現へ
第6章 心象の美を求めて
第1章から第5章までは2Fの第1会場で、第6章は1Fの第2会場で開催されていました。尚、堂本印象と同時代に活躍した橋本関雪の作品も特別出品という形で3点(1点は第2会場、残りの2点は常設展示室にて)展示されていました。
第1章では、15歳の時に描いた作品《仁和寺の塔》や木彫人形も展示されていましたが、ここではデビュー前の初々しい堂本印象の作品に出会えます。
作品全体を通して見ても、20代後半から30代にかけて描いた作品は、何とも言えない不思議な魅力を湛えた作品が多い気がしました。帝展デビューを果たした《深草》や《爽山映雪》《維摩》《木華開耶姫》《雪》など、見応えのある作品が目白押しでした。
それに対して、戦後の作品は世相を反映したかのように、登場人物の眼を暗く描いた作品が登場します。そんな中、《八時間》という作品は興味深い内容でした。働く女性をテーマにした作品で、タイプライターを打つ女性と名刺を片手に電話をする女性がキュビスム的に描かれています。
晩年の作品は抽象画が印象的でした。《交響》や《結集》という作品には、年齢を重ねた深みを感じます。今回、《結集》という作品は初めて目にしましたが、少し離れた場所からふと眺めた時、作品の魅力が一気に伝わってきました。
展覧会用の公式図録はありませんが、京都府立堂本印象美術館が編集した書籍『堂本印象 創造への挑戦』が販売されていましたので購入しました。堂本印象美術館が所蔵する代表作品が200点以上掲載されており、詳しい解説と共に充実した内容になっていました。今回、展示されていた作品も掲載されていますので、堂本印象ファンにとってはおすすめの一冊ですね。