【感想】「今こそGUTAI 県美の具体コレクション」(兵庫県立美術館、会期:2020/12/5~2021/2/7)レビュー

兵庫県立美術館で開催されている「今こそGUTAI 県美の具体コレクション」(会期:2020年12月5日~2021年2月7日)に行ってきました。この展覧会では、 兵庫県立美術館の所蔵品の中から、具体美術協会(1954-1972)の作品が展示されています。

今こそGUTAI 県美の具体コレクション今こそGUTAI 県美の具体コレクション

 

本来の予定では、「スーラージュと森田子龍(仮題)」展が開催される予定でしたが、コロナ禍の影響で、急遽今回の展覧会に内容が変更されたという経緯があります。実は、スーラージュ美術館では、2018年に「具体 絵画の空間と時間」展が開催されていて、兵庫県立美術館からも16点の作品が出展されていました。そうしたこともあって、今回の展覧会へと繋がったようです。

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

Ⅰ 最初期の収集 郷土ゆかりの美術として
Ⅱ 女性作家のめざましい活躍
Ⅲ 現代美術-山村徳太郎氏と近美の並走
Ⅳ 多角的な理解に向けて 県美のGUTAIコレクション

 

この展覧会の特徴は、具体美術協会の女性作家の作品展示数が多いことでしょう。女性作家では、山崎つる子、白髪富士子、田中敦子、名坂有子、森内敬子、菅野聖子、堀尾昭子の作品が出品されていました。白髪富士子に関しては個人蔵の作品も展示されていました。

 

具体美術協会という革新的な美術活動に多くの女性が参画していたという事実に、当時の女性パワーを感じますね。具体の作品を眺めていますと、具体美術協会が美術界に果たした意味を考えてしまいます。どう見ても、美しさを第一目的に追求した芸術活動には思えません。それより重視されていたのが、表現方法や制作方法など、伝統的な絵画の常識を破壊し、自由を追求することだったように思えます。

 

鑑賞者に安らぎを与える作品というより、鑑賞者に衝撃を与える作品を目指したのかもしれません。こうした具体の作品が今後どのように評価されていくのかはわかりませんが、兵庫を発祥とするこの具体美術協会の活動が美術界に様々な影響を与えたことは間違いないでしょう。

 

この展覧会では、鑑賞者に無料でパンフレットが配布されていて、その中に出品リストとともに展示作品の画像も掲載されていました。こうしたサービスは嬉しいですね。

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2021年01月31日|ブログのカテゴリー:2021年投稿, 展覧会レビュー