【感想】「李行簡展 -新しい中国画への誘い-」(植野記念美術館、会期:2021/1/16~3/14)レビュー

植野記念美術館で開催されている「李行簡展 -新しい中国画への誘い-」(会期:2021年1月16日~3月14日)に行ってきました。この展覧会は、中国湖北省生まれの画家・李行簡(り こうかん)の個展となります。展示作品は、植野記念美術館が所蔵する作品と姫路市にある李行簡美術館が所蔵する作品から構成されていました。

李行簡展 -新しい中国画への誘い-李行簡展 -新しい中国画への誘い-

 

展覧会では、李行簡と同時代に活躍した中国人作家の作品も15点展示されていました。会場では、「大人のための鑑賞ガイド」が配布されていて、鑑賞のポイントが分かりやすく解説されていましたので、ここで少しご紹介します。。

 

【Point1】「光と影」の表現
伝統的な中国山水画では「光と影」を強調しませんが、李行簡は西洋絵画の「光と影」の表現を取り入れています。

【Point2】その時代にふさわしい表現
李行簡は、伝統的な山水画のスタイルではなく、中国の少数民族を描くなど、新しい表現を試みています。

【Point3】独特な構図法「三遠法」
中国山水画には、三遠法と呼ばれる構図があります。一つは山の麓から山頂を見上げることで高さを強調する「高遠」、次に、頂上から遠方を見下ろすことで奥行きを強調する「深遠」、平野から遠くを眺めることで遠距離を強調する「平遠」です。李行簡はこれらの「三遠法」を組み合わせた構図を用いています。

【Point4】「画賛」に込められた意図とは
李行簡の作品には、他の中国絵画と同様に画賛と呼ばれる、詩や文が書き込まれており、作者の思いが込められています。

 

これまで、植野記念美術館に所蔵されている1980年前後の作品は目にしたことがありましたが、1990年代以降の作品は今回初めての鑑賞となりました。従来の暗くて幽玄な作品とは打って変わって、赤や黄、緑といった鮮やかな色彩をまとった、実にオシャレな作風が印象的でした。

 

黄色が美しい《秋風颯々》、鮮やかな赤と遠近感が見事な《盛秋図》、楽しげな子どもの凧揚げ姿が描かれた《春風送爽》など、色彩豊かな画風が魅力的でした。ショップコーナーでは図録(800円)やポストカードが販売されていました。

2021年03月17日|ブログのカテゴリー:2021年投稿, 展覧会レビュー