【感想】「淀井敏夫展~伝え、紡いだもの~」(あさご芸術の森美術館、2019/5/18~7/7)レビュー

あさご芸術の森美術館にて、2019年5月18日から7月7日まで開催されている、あさご芸術の森美術館開館20周年記念企画「淀井敏夫展~伝え、紡いだもの~」に行ってきました。

あさご芸術の森美術館開館20周年記念企画「淀井敏夫展~伝え、紡いだもの~」

 

あさご芸術の森美術館は、彫刻家・淀井敏夫(よどい としお)の作品を中心に所蔵している美術館で、6,000㎡にも及ぶ野外彫刻公園と屋内美術館からなる広大な芸術空間になっています。田舎ならではの地の利を生かした美術館で、眼前に広がるロックフィルダム(多々良木ダム)とのコラボレーションが見事な景観を生み出しています。

あさご芸術の森美術館

 

「淀井敏夫展~伝え、紡いだもの~」は、1階アトリエ室で開催されており、淀井敏夫の作品のうち、室内展示に適した比較的小型の作品が一室に集められていました。淀井敏夫作品の造形美は、何と言っても動物や人間の細長い手足を見事に表現しているところでしょう。動物の中では平和の象徴としてのキリンがよく登場しますが、その長い脚や首、顔の造形は見事としか言いようがありません。

 

キリン以外にも、ラクダやロバ、マントヒヒ、うさぎ、コブラ等、様々な動物が作品に登場しますが、特にラクダやロバの姿は、キリンと同様に四肢の細さが強調され、現実には存在しないような理想的な美しい体型で彫像されています。

 

一方で、「放つ」という作品のように少女の顔が、極端に単純化された姿で表現された作品もあり、リアリティのある顔よりも特段に印象的で異彩を放っていました。また、全体的に作品から幸福感や希望が感じられるものが多く、淀井敏夫の豊かな人生観が滲み出しているように感じました。

 

淀井敏夫の作品は、1階の常設展示室にも展示されており、こちらでは作業場の様子が再現されていたり、比較的大きな作品や絵画も展示されていました。淀井敏夫ワールドの造形美が味わえる貴重な展覧会であり美術館でした。

 

2019年06月19日