【感想】「栖鳳の時代 ~匂いまで描く」(福田美術館、会期:2021/3/1~4/11)レビュー

福田美術館で開催されている「栖鳳の時代 ~匂いまで描く」(会期:2021年3月1日~4月11日)に行ってきました。この展覧会は、京都画壇の竹内栖鳳を中心に、その師や弟子たちといった周辺画家の作品も合わせて展示されています。

福田美術館栖鳳の時代 ~匂いまで描く

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

第1章 京都画壇の革新
第2章 憧れの栖鳳先生
第3章 青の部屋

 

竹内栖鳳と言えば、その作品から「匂いや音・湿気までもが感じられる」と言われるほどの画力が有名です。と言っても、竹内栖鳳は厳密な写生のみを目指したわけでははなく、無駄な線を省き必要な線のみで描く「省筆」もその特徴です。

 

第1章では、師の幸野楳嶺から四天王と呼ばれる弟子たち(竹内栖鳳、菊池芳文、都路華香、谷口香嶠)の作品を中心に展示されており、その個性の違いも楽しめました。

 

竹内栖鳳が描く、《鮮魚》《金獅図》《猛虎》など、まさに匂いまで漂ってきそうな作品が堪能できました。一方、大胆な構図で帆船を描いた都路華香の《好雨帰帆図》や遠近法を駆使した谷口香嶠の《月夜天橋図》、菊池芳文の見事な京都の風景画なども見逃せないでしょう。

 

第2章では、竹内栖鳳の「省筆」や余白を活かした作品が楽しめます。個人的には、簡素な構図と色彩が美しい《富獄》《春の海》に心を奪われました。他にも、小さな蜂が印象的な《虞美人草》や愛くるしい《狗児》など、様々な観点から楽しめる作品が展示されていました。

 

第3章では、竹内栖鳳とその弟子たちによる青が美しい額装の作品が展示されていました。ここでは、改めて小野竹喬が描く青に魅せられました。他にも、池田青邨のカラフルな作品も見所です。

 

展示の最後には、日本画で用いられる絵の具の中でも希少とされる群青・緑青の絵の具の実物が展示されていました。作品を支えるこうした技術にも注目できる良い機会となりました。

2021年03月26日|ブログのカテゴリー:2021年投稿, 展覧会レビュー