兵庫陶芸美術館で開催されているテーマ展「丹波焼の世界 season5」を鑑賞しました。テーマ展は、同時開催されている特別展の入場券で鑑賞できます。
丹波焼は、日本六古窯(にほんろっこよう)の一つに数えられ、平安時代末期に東海地方の常滑焼(とこなめやき)や渥美焼などの窯業技術を移入して始まりました。
今回の展覧会は、兵庫陶芸美術館が所蔵する「田中寛コレクション」を中心に、丹波焼の歴史を概観しています。ここで、兵庫陶芸美術館の公式サイトの解説を抜粋して、丹波焼の流れを確認しておきましょう。
◆中世(鎌倉時代~安土桃山時代)
壺(つぼ)・甕(かめ)・擂鉢(すりばち)を中心に灰白色の素地に鮮緑色の自然釉が美しい無釉陶器を生産
◆近世初頭(安土桃山時代~江戸時代中期)
窖窯(あながま)から登窯に転換し、茶陶なども生産。一方で、赤土部や灰釉、栗皮釉、石黒釉などを使った各種の施釉技法を生み出し、器面装飾に多彩な展開が見られる
◆近世後期(江戸時代中期~明治時代)
白い器面の瀟洒(しょうしゃ)な白丹波とともに、京焼系の意匠・技法を受容
私にとっては、なぜか中世の作品に“丹波焼”というイメージがあります。しかし、そうした渋い丹波焼も近世に入ると、茶陶や赤土部(あかどべ)、灰釉(かいゆう)、栗皮釉(くりかわゆう)などオシャレな作品が登場していることがわかります。
さらに、江戸時代の後期に入ると白丹波が登場し、カラフルな絵付けが見られるようになっています。
他にも、展示会場では「ひょうごのやきもの色々 -白-」と銘打って、出石の白磁や三代清風与平、生田和孝、佐脇慶雄の作品も数点展示されていました。