明石市立文化博物館で開催されている「浦上コレクション 北斎漫画」(会期:2021年4月17日~5月23日)に行ってきました。この展覧会は、江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の『北斎漫画』に関して、世界一の質と量を誇ると言われている浦上満氏のコレクションから厳選された約200点が展示されています。
北斎漫画は、本来、弟子たちへの絵手本として描かれた作品ですが、扱っている題材はかなり広範囲にわたっており、江戸時代の生活のありようが目に浮かぶようでした。
展覧会の構成は初編から十五編まで順に展示されていました。
初編 文化11(1814)年刊
二編 文化12(1815)年 三編と同時刊行
三編 文化12(1815)年 二編と同時刊行
四編 文化13(1816)年 五編と同時刊行
五編 文化13(1816)年 四編と同時刊行
六編 文化14(1817)年 七編と同時刊行
七編 文化14(1817)年 六編と同時刊行
八編 文政元(1818)年もしくは文化14(1817)年か
九編 文政2(1819)年
十編 文政2(1819)年
十一編 刊行年不詳(文政7~天保4〈1824~1833〉年頃)
十二編 天保5(1834)年
十三編 嘉永2(1849)年
十四編 刊行年不詳
十五編 明治11(1878)年
人物から始まり、動植物、山水、妖怪など、江戸時代のありとあらゆる生活文化が描かれていました。解説パネルには、絵に秘められた意味が簡潔に説明されていて、まさに「百聞は一見にしかず」という作品群でした。
改めて、葛飾北斎という絵師の観察眼や、その人間味溢れる心情がよく伝わってくる内容でした。こうした背景を踏まえて、《冨獄三十六景》などの作品を鑑賞しますと、よりその魅力が理解できるように感じました。
《群盲象を撫でる》《桓公老馬に従い国に帰る》のような故事にまつわる作品から、《天眼鏡ほか》《お供はつらいよ》といった思わず笑ってしまうような作品まで、実に幅広いテーマが魅力的でした。
本来、冊子として製本されていたものをバラして展示していますので、各々の作品はそれほど大きなものではありません。一部、ガラスケース内に展示されていた作品は遠くから眺めるしかありませんでしたが、大部分の作品は壁に掛けられていましたのでじっくり鑑賞することができました。
この展覧会用の図録はありませんが、『北斎漫画』をはじめとして、関連書籍が幾つか販売されていました。