神戸市立小磯記念美術館で開催されている、コレクション企画展示「光あるところに」(会期:2021年4月17日~6月13日)に行ってきました。この展覧会は、小磯良平の作品を“光”による陰や影に焦点を当てて読み解こうとする試みです。
小磯良平は、もともと光による効果を重視しながら作品を制作している作家です。今回は、特に光という観点に注目しながら作品を鑑賞することになりました。
展覧会の構成は以下のとおりです。
序 《桃とクルミのある静物》より
かげ[陰]Ⅰ-There is SHADE
かげ[影]Ⅱ-There is SHADOW
新聞連載小説挿絵原画展「適齢期」(五)【白川渥・著】
小磯良平作品選Ⅰ
コレクション企画展示「光あるところに」は、最初に《桃とクルミのある静物》から始まります。白いテーブルクロスや桃、ガラスに映る光などが明るく描かれている一方で、右側に置かれた黒いコーヒーミルやボトル、背景を暗くことで、鑑賞者の視線がテーブル上の桃やクルミへと効果的に導かれていることに気づきます。
かげ[陰]Ⅰでは、光と時間によって生み出される“陰”に注目した作品が展示されています。さらに、かげ[影]Ⅱでは、鏡やガラスに映る像に注目しながら、光と影について考えさせられます。
こうして改めて小磯作品を観ていますと、鏡を描き込んだ作品が案外あることがわかります。また、《少女像》では、少女の影の濃淡が左右で極端に異なり、少女にインパクトが与えられていることがわかります。
普段、何気なく眺めている作品も、一つのことに注目しながら鑑賞することで、作家がどのようなこだわりを持ちながら描いているかが見えてきますね。
今回の展覧会では、コレクション企画展示「光あるところに」の他にも、新聞連載小説挿絵原画展「適齢期」(五)【白川渥・著】や、小磯良平作品選Ⅰも展示されていました。