福田美術館で開催されている「京(みやこ)のファンタジスタ ~若冲と同時代の画家たち」(会期:2021年7月17日~10月10日)に行ってきました。この展覧会は、嵯峨嵐山文華館との二館共同開催となっています。福田美術館では、「どうしてこんなに天才たちが」と題して、伊藤若冲と与謝蕪村を中心に、同時代に活躍した絵師たちの作品が展示されています。
展覧会の構成は以下のとおりです。
第1章 若冲と蕪村
第2章 鎬を削る画家たち
第3章 画家の筆法を比べてみました
第1章では、伊藤若冲(1716~1800)と与謝蕪村(1716~1783)という同じ年に生まれながら、まったく異なる画風が印象的なふたりの作品が展示されていました。修理後初お披露目となった伊藤若冲の《群鶏図押絵貼屏風》は、とても82歳の作品とは思えない、躍動感に溢れた作品でした。
また、伊藤若冲の最初期の作品とされる《蕪に双鶏図》は、畑に生える蕪の表現や、つがいの鶏の構図や描写など、見事としか言いようがありません。一方、与謝蕪村の《老松図屏風》は、2本の寄り添う松を描いた大型作品ですが、良い意味で、私が持っていた蕪村のイメージを裏切ってくれた作品でした。
第2章では、若冲と同時期にあたる18世紀の京都や大阪で活躍した、池大雅や円山応挙、曾我蕭白、長沢芦雪、呉春たちの作品が展示されていました。また、江戸時代の絵師たちに影響を与えた、中国清時代の画家・沈南蘋(しん なんびん)の作品も展示されていましたが、流石の出来栄えです。
第3章は、NHKで放送された「ライジング若冲」に登場する絵画制作に協力された南宗画家の岡原大崋氏が、伊藤若冲、池大雅、曾我蕭白、円山応挙、長沢芦雪の筆使いをまねて描いた作品が解説と共に展示されていました。他に、「京の画家たちの住宅マップ」や「表で比べる京の画家たち」といった、分かりやすい解説パネルも掲示されていました。
福田美術館では、通常の展示以外に、今回の第3章のような解説コーナーや、制作で使われた絵具や道具の紹介など、絵画の解説企画がしばしば行われています。美術館としては珍しく、絵画が身近に感じられる貴重な企画ですね。
さて、次は嵯峨嵐山文華館です。
【9/24追記】
後期展では、伊藤若冲の《月下芦雁図》や《仔犬図》、《雲中阿弥陀如来像》、《鳳凰図》といった楽しい作品が展示されていました。
《仔犬図》の解説パネルには「かわいくはない若冲の仔犬」と書かれていました。確かに、同展で展示されている円山応挙の《竹に狗子図》と比べても、明らかに可愛くはありません。フォルムは可愛いですが、目が・・・。
若冲が描いた珍しい仏画《雲中阿弥陀如来像》や、林良の個性的な《鳳凰図》を参考にして描いたとされる、若冲の《鳳凰図》も見ることができました。
与謝蕪村や曾我蕭白、長沢芦雪たちの作品を鑑賞するに当たっては、下記の公式YouTubeの解説動画を見ておくとより楽しめると思います。
展覧会情報
会場:福田美術館
会期:2021年7月17日(土)~ 10月10日(日)
休館日:火曜日(祝日の場合は翌平日)
観覧料:一般・大学生1,300円
割引:嵯峨嵐山文華館両館共通券あり
音声ガイド:無料音声ガイド(スマホ・貸出)あり
写真撮影:OK
図録:なし
Web:福田美術館「京(みやこ)のファンタジスタ」