【感想】「上方界隈、絵師済々Ⅱ」(中之島香雪美術館、会期:2021/7/3~8/22)レビュー

中之島香雪美術館で開催されている「上方界隈、絵師済々Ⅱ」(会期:2021年7月3日~8月22日)に行ってきました。この展覧会は、2019年~2020年にかけて開催された「上方界隈、絵師済々Ⅰ」の第2弾となります。

上方界隈、絵師済々Ⅱ

 

この展覧会では、18世紀の後半に京都で起こった円山・四条派の様式を学び、大阪で活躍した上田耕夫(うえだこうふ、1760-1832)、上田公長(うえだこうちょう、1788-1850)、長山孔寅(ながやまこういん、1765-1849)たちの作品を堪能できます。

 

これまで大阪画壇の絵師たちの作品をまとまった形で鑑賞することはなかったので、貴重な機会となりました。出品リストを見ると、図書館や個人で所蔵されている作品が多くあるような印象を受けました。

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

第1章 蕪村と呉春
第2章 上田耕夫-応挙に学び、蕪村を慕う
第3章 上田公長-呉春を敬慕、器用な画業
第4章 長山孔寅-絵師で狂歌師、呉春の弟子
スポット展示 上方界隈、石済々

 

第1章では、大阪の絵師たちが慕った与謝蕪村と呉春の作品が紹介されていました。展示点数は多くありませんが、その画風がよく分かる作品でした。蕪村にしても呉春にしても、日本人らしい独特の温かみがあります。

 

第2章では、円山応挙に師事し、蕪村の画風を慕ったという上田耕夫の作品が展示されていました。応挙の写実的な美しさと、蕪村の温かみのある山水が融合した心地よい画風が魅力的でした。

 

第3章では、呉春から絵を学び、大阪を中心に活躍した上田公長の作品が楽しめます。公長は、多忙で門人を教える暇がないことから、『公長画譜』を出版することになったと弟子がその序文で語っています。展覧会では、この『公長画譜』も展示されています。ある意味で、癖の少ない絵師という印象でした。

 

第4章では、呉春に学び大阪で活躍した長山孔寅の作品が展示されています。《麻姑図》、《人物図》、《西王母図》といった人物画が特に印象的でした。味わいのある独特の画風が魅力的な絵師です。

 

さらに、スポット展示として、呉春の池田時代を代表する《石譜奇鑒》も展示されていました。これは、二十八種類の石を描き分けたという作品です。

 

ショップでは図録も販売されていました。これは、大阪画壇の貴重な作品資料としても役立つでしょう。呉春筆《石譜奇鑒》の詳しい解説コラムも掲載されていました。

展覧会情報

展覧会名:上方界隈、絵師済々Ⅱ
会場:中之島香雪美術館
会期:2021年7月3日(土)~ 8月22日(日)
休館日:月曜日(8/9は開館、8/10は休館)
観覧料:一般900円
割引:朝日友の会他、割引あり
音声ガイド:なし
写真撮影:不可
図録:2,000円
Web:中之島香雪美術館「上方界隈、絵師済々Ⅱ」
2021年08月01日|ブログのカテゴリー:2021年投稿, 展覧会レビュー