兵庫県立美術館で開催されている「ハリー・ポッターと魔法の歴史」(会期:2021年9月11日~11月7日)に行ってきました。この展覧会は、大英図書館が2017年に企画・開催した「Harry Potter:A History of Magic」の国際巡回展です。この後は、東京ステーションギャラリー(会期:2021年12月18日~2022年3月27日)で開催される予定です。
タイトル通り、J.K.ローリング著『ハリー・ポッター』シリーズのもとになった魔法の歴史を紐解いていく内容となっています。J.K.ローリングの直筆原稿やスケッチ、ジム・ケイによるキャラクターの肖像画なども展示されています。
展覧会の構成は以下のとおりです。
第1章 旅 -The Journey-
第2章 魔法薬学 -Potions-
第3章 錬金術 -Alchemy-
第4章 薬草学 -Herbology-
第5章 呪文学 -Charms-
第6章 天文学 -Astronomy-
第7章 占い学 -Divination-
第8章 闇の魔術に対する防衛術 -Defence Against the Dark Arts-
第9章 魔法生物育成学 -Care of Magical Creatures-
第10章 過去、現在、未来 -Past,Present,Future-
ハリーがホグワーツ魔法魔術学校で学んだ科目を中心に章立てがなされていました。各展示室の背景が古い書棚のような雰囲気に仕上げてあり、実際の展示数以上に作品が展開されているかのような錯覚をしてしまいます。
J.K.ローリングによる『ハリー・ポッター』のあらすじ原稿やスケッチ、『ハリー・ポッター』シリーズの出版を決まるきっかけとなった、アリス・ニュートン(8歳)の読書感想文などから展示は始まります。
そして、大英図書館が所蔵する中世以降の様々な魔法に関する資料が、各章立ての内容に沿って展示されていました。中でも印象的だったのが、人間の形をしたマンドレイク(別名マンドラゴラ)の根でした。これは、『ハリー・ポッター』シリーズにも登場する不思議な植物です。引き抜かれるときに鳴き声をあげ、それを聞いた者は命を落とすとか・・・。
絵画作品としては、ジム・ケイによる肖像画以外では、エドワード・チャールズ・バーンズ《錬金術師》、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《魔法円》、同《人魚》が展示されていました。特に、ウォーターハウス《魔法円》は実に見応えのある作品でした。
ただ、この展覧会の鑑賞者層は通常の絵画系とは異なるようで、絵画にそれほど関心があるようには見えませんでした。一見したところ、20~30代のオシャレな女性たちが8割近くを占めていたように思います。
また、展示室の壁にそって書籍や資料が展示されていますので、展示室の周囲に鑑賞者の列ができていて、中央部はポッカリ空いているという状況でした。絵画の場合は、中央部からでも眺めることができますが、資料は近づかないとほとんど見えませんので、当然と言えば当然でしょう。
音声ガイドは、桐谷美玲さんがナビゲーターで、聞きやすい話し方でした。会場内の椅子に座って繰り返し聞くこともできましたので、十分楽しめると思います。
また、図録(2,800円)は大型のタイプでかなり詳しい内容が記載されています。展示会場では資料が多い分、じっくり見ることができなくても、自宅に帰ってからその内容を振り返ることができます。図録には、当日展示されていなかった資料などもたくさん収載されていました。
兵庫県立美術館では、予約制になっていますので、比較的ゆったりと鑑賞することができました。予約に関しては、名前とメールアドレス、電話番号を入力することで簡単にできます。予約時間は1時間単位となっていますが、入館時間は、できれば予約時間内の中頃の時間帯に入るのがコツかと思います。予約時間内の最初の時間帯は混みがちで、最後の時間帯は次の予約グループと被ってしまいます。
展覧会情報
会場:兵庫県立美術館
会期:2021年9月11日(土)~11月7日(日)
休館日:月曜日(9/20開館、9/21休館)
観覧料:2,000円(当日)、1,800円(日時指定)
音声ガイド:600円(桐谷美玲)
写真撮影:不可
図録:2,800円
Web:兵庫県立美術館「ハリー・ポッターと魔法の歴史」