【感想】「木島櫻谷 四季の金屏風 -京都画壇とともに-」(泉屋博古館、会期:2021/9/11~10/24)レビュー

泉屋博古館で開催されている「木島櫻谷 四季の金屏風 -京都画壇とともに-」(会期:2021年9月11日~10月24日)に行ってきました。この展覧会は、大正時代に新築された住友家本邸のために木島櫻谷が制作した四双の金屏風や新収蔵の木島櫻谷作品を展示しています。

泉屋博古館「木島櫻谷 四季の金屏風 -京都画壇とともに-」泉屋博古館「木島櫻谷 四季の金屏風 -京都画壇とともに-」

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

第1章 集い来たった櫻谷
第2章 京の先人たち
第3章 ようこそ四季の座敷へ
特集 櫻谷と工芸意匠

 

第1章では、新たに収蔵された作品を含む、木島櫻谷の作品9点が展示されていました。《月下遊狸》《葡萄栗鼠》《秋野孤鹿》《鹿図》では、何とも愛くるしい動物たちが魅力的でした。ま

 

 

た、《帰農図》《月図》では、日本人ならではの心の機微を表現した木島櫻谷らしい見応えのある作品でした。他に、6曲1双の屏風作品《猛鷲波濤図》も、大胆なタッチが心地よくその勢いが伝わってきます。

 

第2章では、木島櫻谷と関係の深い画家たちの作品が展示されていました。「羅浮山の梅林で美人と酒を飲み楽しんでいたのに、翌朝目覚めるとその美人はいなくなり、それは“梅の精”だった」という伝説を描いた、森寛斎の《羅浮仙人図》もありました。背景にストーリーのある作品も楽しいですね。

 

第3章では、住友家15代吉左衛門(号は春翠)が木島櫻谷に特別注文して制作された四双の金屏風が展示されています。かつて、現在の大阪市立美術館の本館がある場所に住友家の本邸がありましたが、これはこの本邸の大広間用に制作された作品でした。春翠は、池泉回遊式庭園に面した本邸で季節ごとに屏風を選んで客をもてなしていたそうです。天王寺にある慶沢園がその庭園ですね。

 

《柳桜図》《燕子花図》《菊花図》《雪中梅花》の四双の金屏風がぐるりと展示室に飾られていました。それぞれに魅力のある作品ですが、個人的には《雪中梅花》が気に入りました。眺めていますと、なぜか懐かしい郷愁を感じました。

 

特集は、展示室前の入り口付近に展示されていますので、来館の際は見逃さないようにしてください。《帰農図》箱書や《雪中梅花屏風》共箱などを観ることができます。

 

今回、初めて泉屋博古館に行きました。住友家旧蔵の美術品を保存・展示している美術館です。地下鉄東西線「蹴上駅」から歩いて20分ほどの場所にありますが、最初、逆方向に歩いてしまいましたので、40分ほどかかってしまいました。初めての方用に、地下鉄の出口に簡単な案内表示があると良いですね。ちなみに、初めての方は、とりあえず南禅寺方向に進んでください。

展覧会情報

展覧会名:木島櫻谷 四季の金屏風
会場:泉屋博古館
会期:2021年9月11日(土)~10月24日(日)
休館日:月曜日(9/20開館、9/21休館)
観覧料:800円(青銅器館観覧料金も含む)
音声ガイド:なし
写真撮影:不可
図録:蔵品図録あり
Web:泉屋博古館「木島櫻谷 四季の金屏風」
2021年10月06日|ブログのカテゴリー:2021年投稿, 展覧会レビュー