【感想】「泉屋ビエンナーレ2021 Re-sonation ひびきあう聲」(泉屋博古館、会期:2021/9/11~12/12)レビュー

泉屋博古館で開催されている「泉屋ビエンナーレ2021 Re-sonation ひびきあう聲」(会期:2021年9月11日~12月12日)を鑑賞しました。これは、泉屋博古館で新しく始まった企画で、現代鋳金作家の挑戦が観れる展覧会です。

泉屋博古館「泉屋ビエンナーレ2021 Re-sonation ひびきあう聲」泉屋博古館 中庭

 

今回は、現代鋳金作家に中国青銅器からインスピレーションを受けた完全新作の制作を依頼し、各作家の旧作とあわせて公開するという初の試みとなっています。なかなか面白い企画ですね。

 

展覧会の構成は以下のとおりです。

Section 1 : 古代との共鳴
Section 2 : 作家の世界

 

Section 1は、古代との共鳴ということで、古代の中国青銅器からインスピレーションを受けた各々の作家の最新作品が展示室の中央部分に展示されていました。

 

出品作家は、佐治真理子(さじ まりこ)、三上想(みかみ そう)、巽水幸(たつみ みゆき)、中西紗和(なかにし さわ)、梶浦聖子(かじうら せいこ)、山下真守美(やました ますみ)、見目未果(けんもく みか)、平戸香菜(ひらと かな)、城戸万里子(きど まりこ)の9名です。

 

どの作品も独創的で、なかでも特に印象に残ったのが、佐治真理子さんの《きいてみたいこと Who are you?~》です。まるで宇宙人のような古代人に出会った感覚です。

 

梶浦聖子さんの《万物層累聖獣盉》は、“言い得て妙”という感じがする作品です。古代の中国青銅器を観ていますと、様々な要素が渾然と融合しているというより、重層的に積み重なっているように思え、それを見事に表現されていました。

 

三上想さんの《鳥の青銅花器と繋ぐ花》では、古代風の鳥とそれを繋ぐ可愛い草花の組み合わせが、妙にマッチしているところが不思議です。古代人も現代人も生きる時代や環境が違うだけで、中身はそう変わらないのかもしれません。

 

一方、Section 2 では、出品作家たちの旧作を中心に展示されていました。作家たちのベースとなる作風がわかります。

 

ここでも、佐治真理子さんの作品は不思議な存在感がありました。他にも、見目未果さんの斬新な蜂の巣や、三上想さんの独特な植物たちの表現が楽しいですね。

 

各々の作家の作品を観ていて、次はこの方のこんな作品が観てみたいな・・・という思いも湧いてきました。

 

例えば、巽水幸さんなら、さらに大きくて重量感のある作品を、中西紗和さんなら、童話の世界を独自解釈したイメージ作品を観てみたいですね。平戸香菜さんなら、陶磁器との融合作品も面白そうです。

 

城戸万里子さんの作品は、発想が面白いですね。これに鮮やかな色彩を加えたら、何とも楽しくなりそうです。山下真守美さんの作品は、入り口付近に美しい音色のする鐘が並んでいましたが、音を奏でる動物作品も観てみたいですね。

展覧会情報

展覧会名:泉屋ビエンナーレ2021 Re-sonation ひびきあう聲
会場:泉屋博古館
会期:2021年9月11日(土)~12月12日(日)
休館日:月曜日(9/20開館、9/21休館)、10/25-11/5
観覧料:800円(企画展観覧料金も含む)
音声ガイド:なし
写真撮影:可能
図録:1,500円
Web:泉屋博古館「泉屋ビエンナーレ2021 Re-sonation ひびきあう聲」
2021年10月07日|ブログのカテゴリー:2021年投稿, 展覧会レビュー