【感想】「2021年度 第3回コレクション展」(京都国立近代美術館、会期:2021/9/2~11/7)レビュー

展覧会の概要

京都国立近代美術館で開催されている「2021年度 第3回コレクション展」(会期:2021年9月2日~11月7日)を鑑賞しました。今回のコレクション展は、展覧会「発見された日本の風景」に関連する作品も展示されています。

京都国立近代美術館「2021年度 第3回コレクション展 見出された時間:写真コレクションより」

 

展覧会の構成

・西洋近代美術作品選
・明治・大正時代の日本画
・見出された時間:写真コレクションより
・明治の工芸
・川勝コレクション 河井寛次郎作品選
・明治の光景
・版画にみる四都(京・阪・神・東)の風景  一川西 英を中心に一

 

感想①「企画展に登場しなかった作家たち」

今回のコレクション展は、展覧会「発見された日本の風景」を鑑賞した後に、観る方が多いと思います。ですので、京都国立近代美術館のコレクションのなかにも関連作品はありますよ、という主張に注目しましょう。

 

コレクション展では、展覧会「発見された日本の風景」に登場しなかった作家たちの作品も展示されていました。ここが注目ポイントです。伊藤快彦、加藤源之助、長谷川良雄、田中善之助、霜鳥之彦といった京都で活躍した作家たちの作品を通して、別の角度から当時の明治の様子をイメージすることができます。

 

感想②「浅井忠《御宿海岸》に注目」

解説によりますと、浅井忠《御宿海岸》は、古くから画集には掲載されていましたが、その存在が長らく不明だった作品だったようです。今回、京都国立近代美術館に新収蔵されたということで、記念展示されていました。

 

この作品には、印象派風の作風が観られ、対立派閥だった黒田清輝の画風の影響も垣間見られるところが面白いですね。当時、両グループは御宿海岸で合流して制作をしていたようですので、その影響もあるようです。

 

感想③「大正から昭和にかけての風景」

展覧会「発見された日本の風景」は、幕末から明治を中心とした風景や風俗を描いた作品でしたが、コレクション展では、その続きもありました。大正から昭和にかけての風景が、川西英や織田一磨、川上澄生たちの版画作品を通して知ることができます。ここでは、まったく違う画風の版画が楽しめました。

 

ちなみに、京都国立近代美術館のコレクションには川西英が収集していた作品約1,000点が所蔵されており、“川西英コレクション”と呼ばれています。川上澄生などの作品もそのなかに含まれているものです。

 

感想メモ

展覧会「発見された日本の風景」をじっくり観た後で、さらにコレクション展も観るとなりますと、かなりの体力が要りますね。しかし、そこが踏ん張りどころです。コレクション展は一部の作品を除いて写真撮影が可能ですので、気になる作品はとりあえず写真に収めておいて、自宅に帰ってからじっくり味わうこともできます。無料アプリを利用した音声ガイドは自宅でも聴けますので、お見逃しなく。

 

展覧会情報

2021年度 第3回コレクション展

会場:京都国立近代美術館
会期:2021年9月2日(木)~11月7日(日)
休館日:月曜日、9/21(9/20開館)
観覧料:430円(一般)/「日本の風景」の鑑賞券で観覧可能
音声ガイド:スマホ無料アプリを利用
写真撮影:一部を除き可能
図録:なし
Web:京都国立近代美術館「2021年度 第3回コレクション展」
2021年10月10日|ブログのカテゴリー:2021年投稿, 展覧会レビュー