【感想】「ミロコマチコ いきものたちはわたしのかがみ」(神戸ゆかりの美術館、会期:2021/10/2~12/19)レビュー

展覧会の概要

神戸ゆかりの美術館で開催されている「ミロコマチコ いきものたちはわたしのかがみ」(会期:2021年10月2日~12月19日)に行ってきました。この展覧会は、絵本『オオカミがとぶひ』(2012年)をきっかけに一躍注目された人気絵本作家・ミロコマチコ(1981- )さんの絵本原画や絵画、ライブ・ペインティング作品などが展示されています。

神戸ゆかりの美術館「ミロコマチコ いきものたちはわたしのかがみ」

 

展覧会の構成

1.近作・新作
2.装画、ディレクション
3.絵本原画
4.山形ビエンナーレ
5.新作

 

感想①「山形ビエンナーレ2016」

美術館に入りますと、無料のエントランスコーナーに、「山形ビエンナーレ2016」で出品されていた《あっちの耳、こっちの耳》シリーズの作品が出迎えてくれます。これは、ミロコマチコさんの「読み聞かせ」展示で、“山と街/獣と人”をテーマにした物語をもとに制作された数点の大型の立体作品です。動物たちに引かれた荷車の横が大きく開き、中に物語の絵が描かれています。

 

これらの作品には、ミロコマチコさんの動物たちに対する愛情が溢れていました。作品の傍らには、由来となった物語と動物の視点から展開する物語が掲示されていました。これらの物語を読んでから作品を鑑賞すると、その意味するところがよく分かってより楽しめると思います。

神戸ゆかりの美術館「ミロコマチコ いきものたちはわたしのかがみ」

 

感想②「ライブ・ペインティング作品」

展示室では、大型のライブ・ペインティング作品が数点展示されていましたが、そのエネルギッシュな画風に驚くばかりです。決して写実的な作品ではありませんが、生命力に溢れた作品で私も元気をもらえました。

 

下記の動画からライブ・ペインティングの雰囲気がよく分かりますね。直感と運任せ的にも見える制作風景ですが、完成作品を遠くから眺めると、よりその魅力が実感できました。

 

感想③「装画の不思議」

装画に関しては、ミロコマチコさんが制作した原画を見ますと、「へんてこりんな動物たちが描かれている」としか見えません。しかし、その一部を切り取って書籍の表紙などに組み込まれますと、これが驚くばかりの完成度になるのです。

 

そのへんてこりんな姿が生き生きと輝き始めますから、何とも不思議です。それも特定の作品がたまたまそうなっているというわけではなく、全ての装画に共通しているところが凄いですね。

 

感想④「新作と今後の期待」

新作コーナーでは、下記の動画で紹介されていた作品《木の記憶》も展示されていましたが、実物は動画で観るより数段輝いていました。奄美大島に移住されてから、より作品に生命力が漲り、魅力を増しているように感じました。これからの活躍が楽しみです。

 

感想メモ

展覧会場内でも制作風景の映像が少し流れていましたが、ミロコマチコさんの人となりは動画を見るとよくわかりますね。こういう方から、こうした作品が生まれるのかと納得します。

 

この展覧会は巡回展で、これまで高知県立美術館、刈谷市美術館、宇都宮美術館をまわり、神戸ゆかりの美術館の後は横須賀美術館(2022年2月11日~4月10日)で開催される予定です。

 

展覧会情報

ミロコマチコ いきものたちはわたしのかがみ

会場:神戸ゆかりの美術館
会期:2021年10月2日(土)~12月19日(日)
休館日:毎週月曜日
観覧料:1,000円(一般)
音声ガイド:なし
写真撮影:一部可能
図録:3,850円
Web:公式サイト「ミロコマチコ いきものたちはわたしのかがみ」
2021年10月26日|ブログのカテゴリー:2021年投稿, 展覧会レビュー