展覧会の概要
京都府立堂本印象美術館で開催されている「生誕130年 堂本印象」(会期:2021年6月4日~11月23日)に行ってきました。この展覧会は、堂本印象生誕130年を記念して、美術館コレクションから来館者に選ばれた人気上位10作品を中心に、堂本印象の作品が初出品作も含めて展示されています。
展覧会の構成
多才な画家、印象
印象、若かりし頃
古画に学ぶ
墨づかいの達人
(初)公開
奇跡の作品、(初)里帰り
THE 印象!!
大画面に挑む
感想①「夢の世界」
今回、初めての堂本印象美術館でした。展示室は1Fと2Fにあり、1Fから2Fへと向かう通路はなだらかなスロープ状の回廊になっていて、そこにも数多くの作品が展示されていました。
回廊に展示されている印象の代表作品を観ていて、つくづく堂本印象が描く世界は非現実の世界ではないかと思ってしまいました。まるで夢の世界を覗いているような気持ちがしてくるのです。不思議な感覚でした。
ありそうでない坂道の風景を描いた《坂》、半透明で透けるような白鷺が登場する《雪》、可愛いウサギが住む世界がまるで霊界に見えてくる《兎春野に遊ぶ》など、軒並みこの世離れしています。そして、これこそが堂本印象の魅力でもあると思います。
感想②「工芸的な美しさ」
神話を題材にした《木華開耶媛》は、他の美術館の展覧会でも目にする機会がありますが、実に華やかで美しい世界が展開しています。地面に注目しますと、タンポポやワラビなど様々な草花が咲き誇っている様子が見事です。
さらに、それらの一つ一つに注視してみますと、立体感があり工芸的な精緻さで描かれていることが良く分かります。しかし、全ての背景が写実的に描かれているわけではありません。対象物をピンポイント的に選んで詳細に描いているのです。このあたりが堂本印象の作品が魅力につながっているのでしょう。
感想③「人気作品は抽象画?」
この展覧会では、2019年に堂本印象美術館で開催された「コレクション人気投票」で選ばれた上位10作品が展示されていました。そのうち、1位、4位、6位の作品が抽象画という結果になっていました。
これは意外な結果でした。投票された方の審美眼はかなり進歩的なようですね。一方で、仏画などの宗教的な作品はランクインしていませんでした。私が行ったときに、来館者の方がスタッフに「抽象画以外の作品も描かれているんですね」と言う声が聞こえてきましたので、案外、堂本印象には抽象画家のイメージが強いのかもしれません。
感想メモ
今回、初めての訪問でしたが、交通手段として“嵐電(らんでん)”を利用することにしました。この電車は通常の電車と違って乗車前に切符を買う必要がありません。
乗車区間に関係なく大人運賃は220円で、終点と乗換駅以外は電車の前の料金箱やカード決済で支払います。下車前に壁のボタンを押す感じは“バス”と同じ要領でしたね。果たして、海外の方はすぐに理解できているのでしょうか?
展覧会情報
生誕130年 堂本印象
会期:2021年6月4日(金)~2021年11月23日(火・祝)
休館日:月曜日(ただし8月9日、9月20日、11月22日は開館し、8月10日、9月21日は休館)
観覧料:510円(一般)
音声ガイド:なし
写真撮影:不可
図録:550円(パンフレット)
Web:堂本印象美術館「生誕130年 堂本印象」