展覧会の概要
京都府立堂本印象美術館で開催されている「第2回野外工芸美術作家展」(会期:2021年10月9日~11月23日)を鑑賞しました。この展覧会は美術館の庭園を利用した工芸美術の野外展示になっています。今回は、伊砂正幸、片山雅美、加藤敬、丹下裕史、松本健宏、山本啓二(50音順、敬称略)の6名の作家の作品が展示されていました。
展覧会の構成
Aエリア:丹下裕史
Bエリア:加藤敬
Cエリア:片山雅美
Dエリア:山本啓二
Eエリア:伊砂正幸
Fエリア:松本健宏
感想①「丹下裕史さん」
白磁が点在する美しい作品で、どこか宮崎駿のアニメ世界を彷彿とさせる雰囲気がありました。柔らかい白色が魅力の作品ですので、野外展示では汚れが気になるところですが、意外と汚れも少なく輝いていました。
感想②「加藤敬さん」
自然の流れを作品で表現されているだけあって、周囲の庭園に溶け込んでいました。《線刻紋器》や《蕾》など、秋らしい色使いや曲線美が心地よく、どこか懐かしい気持ちになりました。
感想③「片山雅美さん」
赤陶作品は、秋の情景のなかで存在感を示しつつ見事に周囲と調和していました。何れも不思議な形態が印象的で、《赤雲》に至っては二本足の容器のなかで植物が憩っているようでした。足下だけ白いのも良いですね。
感想④「山本啓二さん」
金属に“冷たい”イメージとは異なる表情を持たせようと工夫されているそうで、作品にも《おすまし》や《にっこり》といった、ほっこりした命名がなされています。青緑色と茶色の組み合わせが大きなキノコのようにも見えてきて楽しい気分になりました。
感想⑤「伊砂正幸さん」
《金魚》は、一瞬、周囲の落ち葉がガラス容器のなかにも入っているのかと思いましたが、よく見ると金魚が泳いでいました。《花》の方は、木と一体化してまったく違和感がなかったですね。お見事です。
感想⑥「松本健宏さん」
《光線》という作品は、その大きさやカラフルな色使いから、秋の木々に調和する以上に、その存在が輝いていました。新館の入り口に設置された《道》《ひとかた》《パンピンとオリングン》も含めて、どこか原初的な力が漂ってくる興味深い作品でした。
感想メモ
野外展示は、室内で観る作品単体の魅力だけでなく、季節や温度、その時々の草や木々の様子、雨風による作品の経時変化も考慮する必要があるのでなかなか手強い企画ですね。まさに、自然の中で作品が生き残りを掛けて戦っているようにも感じました。
展覧会情報
第2回野外工芸美術作家展
会期:2021年10月9日(土)~2021年11月23日(火・祝)
休館日:月曜日(ただし11月22日は開館)
観覧料:無料
音声ガイド:なし
写真撮影:可能
図録:無料(パンフレット)
Web:堂本印象美術館「生第2回野外工芸美術作家展」