【感想】「[2021 秋期]コレクションルーム」(京都市京セラ美術館、会期:2021/10/2~12/5)レビュー

展覧会の概要

京都市京セラ美術館で開催されている「[2021 秋期]コレクションルーム」(会期:2021年10月2日~12月5日)に行ってきました。この展覧会は、京都の四季に合わせて開催されているコレクション展の秋期バージョンです。

 

展覧会の構成

秋の気配
大正の女性表現
食卓のうつわ(五代清水六兵衛 河合卯之助)
働く女性
秋を感じる
子どものすがた
山鹿清華と中村鵬生
深まる秋

 

感想①「名品百選より」

『京都市美術館名品百選』という書籍がありますが、この中に登場する100作品は、京都市京セラ美術館の看板コレクションとも言えるでしょう。まずは、名品百選の中から展示されていた作品のご紹介しておきます。

 

この展覧会は、中村大三郎(なかむら だいざぶろう、1898-1947)《ピアノ》から始まります。今回、唯一写真撮影が可能だった作品でもあります。赤い振袖姿の女性(モデルは中村の妻・都由子)がグランドピアノを演奏する姿を描いた作品で、ある意味で京都市京セラ美術館のトレードマーク的な位置づけにあるような貫禄を感じる作品でした。

中村大三郎《ピアノ》

(中村大三郎《ピアノ》)

 

他にも名品百選に選ばれている作品は多数展示されていましたが、やはり外せないのが、重要文化財にも指定されている竹内栖鳳の《絵になる最初》でしょう。と言いつつ展示期間の都合で、今回は下絵のみが展示されていました。

 

この作品は、着物を脱ぐときの恥じらいを表現した斬新な作品ですね。妖艶な作品は大正時代の絵画によくありますが、この作品のテーマは“恥じらい”です。

 

感想②「丹羽阿樹子《花市》」

丹羽阿樹子《花市》という作品は、さまざまな花のセットを売っている女性を描いた作品ですが、これを眺めていると不思議な感覚が湧き上がってきました。

 

内容が異なる花のセットは、まるでそれぞれの花のセットが個性を持った女性を象徴しているように見えてきたのです。最近はさまざまな女性アイドルグループがありますが、ファンがそうしたなかから自分の推しを選んでいる姿は、私たちがお気に入りの花のセットを選んでいることと同じなのではないかという気がしてきたのです。

 

金子みすゞの詩に「みんなちがって、みんないい」という言葉がありますが、それぞれが素晴らしい存在なんですね。《花市》で花を選ぶことは、自分の恋人や結婚相手を選んでいる行為のようにも見えてきたのです。まことに不思議な感覚でした。

 

感想③「山鹿清華《手織錦壁掛 星座・月・ロケット》」

このコレクション展と同時期に「コレクションとの対話:6つの部屋」が開催されていますが、そちらで山鹿清華の作品が登場していました。そして、このコレクション展にも山鹿清華の作品が数点展示されていました。

 

先に「コレクションとの対話:6つの部屋」を鑑賞していましたので、余計に山鹿清華に注目することになりましたが、なかでも《手織錦壁掛 星座・月・ロケット》という作品は非常に印象的でした。

 

中央の大きなロケットには圧倒的な存在感があり、その周りを不思議な生き物たち(星座)が取り巻いていて、何とも幻想的な世界が現出しています。観ていて、何だか楽しくてわくわくするような作品でした。

 

感想メモ

京都市京セラ美術館のコレクション展では、音声ガイド(500円)も用意されていました。これは、ヘッドホン型のものではなく、携帯電話型でスピーカー部分を耳に当てて聞くタイプでした。

 

聞くときに耳に当てないといけませんので、少し不便な感じもありましたが、それ以上に、コレクション展で音声ガイドを聞けるのは良いですね。ただ、私以外に利用している人は見かけなかったような気もしますが・・・・・・。

 

展覧会情報

[2021 秋期]コレクションルーム

会場:京都市京セラ美術館
会期:2021年10月2日(土)~12月5日(日)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)
観覧料:730円(京都市外在住の方)
音声ガイド:500円
写真撮影:1点のみ可能
関連図録:京都市美術館名品百選(PR)
Web:京都市京セラ美術館「[2021 秋期]コレクションルーム」
2021年11月29日|ブログのカテゴリー:2021年投稿, 展覧会レビュー