展覧会の概要
姫路市立美術館で開催されている「The Museum Collection Meets HIBINO『展示室で会いましょう』」(会期:2021年11月20日~2022年1月16日)に行ってきました。
この展覧会は、令和3年度オールひめじ・アーツ&ライフ・プロジェクト招聘作家である日比野克彦氏と姫路市立美術館との協働企画となっています。日比野克彦氏が姫路市立美術館が所蔵するコレクションから6名のアーティストを取り上げ、時空を超えたコラボレーションを行っています。
展覧会の構成
Ⅰ アンリ・マティスと出会う
Ⅱ フランシスコ・デ・ゴヤと出会う
Ⅲ ガブリエル・ベルジョンルとの出会い
Ⅳ アンリ・ミショーと出会う
Ⅴ 会いたい
Ⅵ ピエール・アレシンスキーと出会う
Ⅶ コンスタンティン・ブランクーシと出会う
※展示室の展示順に従う(出品リストと異なる)
感想①「見事なコラボレーション」
マティスの20点に及ぶ作品の前に並べてあった日比野氏の陶器を観たとき、これらの作品はマティスの作品に合わせて創ったものかと思いましたが、そうではなかったようですね。驚くほど見事にコラボしていました。
(アンリ・マティス×日比野克彦《Limoges》)
続く、ゴヤやガブリエル・ベルジョンル、アンリ・ミショーの作品を観ていますと、日比野氏の作品の背景にあるものが少し見えてきたように感じました。それらは抽象的でわかりにくい作品ですが、芸術に対する考え方に共感するものがあったということでしょう。
感想②「『会いたい』という思い」
「会いたい」では、日比野氏がこれまでに出会った人や、これから「会いたい」と思う人物をモティーフとして麻紙に描いた作品が重層的に展示されていました。
自分と他人との関係を深く見つめ、「会いたい」という心の思いを絵で表現された作品でした。これらは日比野氏の心を反映した作品でもあり、段ボールアートとは異なる観点から制作された日比野ワールド全開の展示でした。
(日比野克彦《会いたい》シリーズ)
感想③「参加型のインスタレーション」
最後の「コンスタンティン・ブランクーシと出会う」では、日比野克彦《耳と足》というキャスター付きの絵画作品が床に並べられていました。これは、鑑賞者が額縁のフックに紐を繋げて作品を動かすことができる一種のインスタレーション展示でした。
これによって、鑑賞者もまた展覧会の一部に加わるという仕掛けがなされていました。人と人のつながりを重視する、日比野氏らしい考え方が表れていましたね。
(奥の床面:日比野克彦《耳と足》)
感想メモ
姫路市立美術館の前回の企画展「日比野克彦展『明後日のアート』」では、日比野克彦氏の段ボールアートを中心に展覧会が構成されていましたが、今回は、段ボールアート以外に、陶器や絵画作品も数多く展示されていました。
前回の企画展では、日比野氏の芸術思想を掴みにくく感じる部分がありましたが、今回は美術館コレクションとコラボさせることで、かえって日比野氏の考え方が分かりやすく感じました。コレクション作品が通訳の役割を果たしてくれたのかもしれません。
展覧会情報
展示室で会いましょう
会期:2021年11月20日(土)~2022年1月16日(日)
休館日:月曜日(1/10開館)、12/25~1/5、1/11)
観覧料:700円(一般)
音声ガイド:なし
写真撮影:一部を除いて可能
図録:なし
Web:姫路市立美術館「展示室で会いましょう」