展覧会の概要
兵庫県立美術館で開催されている「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」(会期:2021年11月20日~2022年2月27日)に行ってきました。
この展覧会では、世界有数の古代エジプト・コレクションを有するオランダのライデン国立古代博物館の所蔵品とともに、CTスキャンを使った最新のミイラ解析など、最新の研究成果も合わせて公開されています。
展覧会の構成
第Ⅰ章 エジプトを探検する
第Ⅱ章 エジプトを発見する
第Ⅲ章 エジプトを解読する
第Ⅳ章 エジプトをスキャンする
感想①「ナポレオンの功績」
この展覧会では、古代エジプト文明がどのような過程を経てヨーロッパに知られるようになったかという様子が紹介されていました。ナポレオンのエジプト軍事遠征(1798-1801)では、兵隊以外に学者や画家、測量士たちも同行させていたといいますから、なかなかの先見性ですね。
ナポレオン遠征で発見されたもののなかに有名なロゼッタストーンがありますが、本展ではそのレプリカが展示されていました。現在、実物はイギリスの大英博物館に所蔵されています。
ヒエログリフ(聖刻文字)、デモティック(民衆文字)、ギリシャ語という3種の文字で記されたこのロゼッタストーンの解読に、フランスの言語学者シャンポリオンが成功したことによって、古代エジプトの研究が一気に進むようになったんですね。
感想②「シャブティにみる労働問題」
古代エジプトの王朝時代は約3000年に及びますが、ここでは王朝の歴史を辿りながらさまざまな遺品が展示されていました。そんな中、特に気になったのが「シャブティ」(シャワブティ、ウシャブティ)と呼ばれる、死者と一緒に埋葬された小さな像です。
シャブティに記された碑文によると、これは故人のため来世で労働を担う人形のようです。最初は故人一人に対して1体だけだったのが、後には1年間分の365体、さらにそれらのシャブティを監督するためのシャブティ36体も追加され、最大401体に及ぶケースもあったと言います。
どれだけ労働問題に脅威を感じていたのでしょうか。当然、墓を持てるのは地位のある方でしょうから、快適な死後の生活を送るためには欠かせない問題だったのかもしれませんね。
感想③「ミイラのCTスキャン解析」
今回の展覧会では、棺が立てて展示されていましたので、棺に描かれた文様がとても見やすかったですね。ミイラ覆い、木棺の蓋や身など、これぞ古代エジプト展という内容でした。
さらに、ミイラの展示もありましたが、今回の最大注目ポイントでもある、ミイラのCTスキャン映像が公開されていました。ミイラの内部には“シャブティ”らしき小像も映っていました。
さらに、CTスキャン解析により、死者の推定年齢や病歴なども細かく推測されていました。技術の進歩に驚くと共に、故人のプライバシーを覗き見しているようで何だか申し訳ない気もしました。
感想メモ
平日の鑑賞でしたが、結構若い方が多い気がしました。展覧会の内容によって、老若男女の比率が大きく変わるのは面白いですね。人気の古代エジプト展だけあって、図録(2,400円)以外に、関連グッズはかなりの種類が用意されていました。
音声ガイドは、俳優の西島秀俊さんがナビゲーターをされていて、心地よく聞けました。途中でクイズもあり、間違えると大きなバッテンがガイド機に表示されるのですが、誰も見ていないとは思うものの少し恥ずかしかったですね。
展覧会情報
ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展
会期:2021年11月20日(土)~2022年2月27日(日)
休館日:月曜日(1/10開館、1/11および12/31、1/1休館)
観覧料:1,800円(一般)
音声ガイド:600円(西島秀俊)
写真撮影:不可
図録:2,400円
Web:兵庫県立美術館「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」