【感想】「Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり―」(大阪中之島美術館、2022/2/2~3/21)レビュー

展覧会の概要

大阪中之島美術館で開催されている「Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり―」(2022年2月2日~3月21日)に行ってきました。

 

この展覧会は、1983年に構想が発表されてから約40年後に実現した大阪中之島美術館のオープニング展覧会となります。当美術館が所蔵する6000点を超えるコレクションから約400点の代表的な作品が展示されています。

大阪中之島美術館大阪中之島美術館「Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり―」

 

展覧会の構成

第1章:Hello! Super Collectors コレクション形成史の源を紹介
第2章:Hello! Super Stars 代表的な近代・現代美術作品を紹介
第3章:Hello! Super Visions デザイン作品を中心に紹介

 

感想①「コレクションの成り立ち」

第1章では、大阪中之島美術館のコレクションのスタートとなった「山本發次郎コレクション」を皮切りに、「田中徳松コレクション」「高畠アートコレクション」、そして、美術館の収集方針に基づく「大阪と関わりのある近代・現代美術」のコレクションが展示されていました。

 

実に質の高いコレクションで見応えがありました。佐伯祐三と言えばパリの街角のイメージが強いですが、ピンクの服を着た可愛い少女を描いた作品《彌智子像》から展示が始まり、いきなり心を掴まれてしまいました。

 

田中徳松コレクションも良いですね。岡田三郎助《甲州山中湖風景》の美しい色合いには思わず見とれてしまいました。また、高村光雲の木彫《砥草刈》も凄い出来栄えですね。

 

他にも、島成園《祭りのよそおい》や、三露千鈴《殉教者の娘》、池田遙邨《雪の大阪》など、印象的な作品が数多くありました。また、写真や版画、立体など、幅広いコレクションが展示されており、今後のコレクション展も注目ですね。

石崎光瑤《白孔雀》

(石崎光瑤《白孔雀》)

 

感想②「美術館が誇るコレクション」

第2章は、大阪中之島美術館が誇る代表的な近代・現代美術作品が展示されていました。アメデオ・モディリアーニ《髪をほどいた横たわる 裸婦》も展示されていましたが、この作品は国内で唯一のモディリアーニの裸婦だそうです。思わず引き込まれそうになる魅力がありますね。

 

アルベルト・ジャコメッティ《鼻》もなかなかの迫力で、観るものに迫ってきます。四角い枠組みの中に吊された作品で、異常に長い鼻が特徴的です。ジャコメッティの作風の転換点に位置する作品となっています。

 

他に、27歳で夭折したバスキアの作品もありました。ジョージ・シーガルの大型作品《ストリート》は、約20年ぶりの展示となるそうです。石膏をしみこませた医療用包帯をモデルの体に巻いて直接型を取って制作しています。兵庫県立美術館の常設展示室にも、ジョージ・シーガルの作品が展示されていますね。

ルネ・マグリット《レディ・メイドの花束

(ルネ・マグリット《レディ・メイドの花束》)

 

感想③「デザインも収集」

第3章では、グラフィック作品や椅子を中心とした家具作品が展示されていました。これも、大阪中之島美術館の重要なコレクション対象に入っています。

倉俣史朗《ミス・ブランチ》

(倉俣史朗《ミス・ブランチ》)

 

ロートレックやボナール、ビアズリー、ミュシャといった名だたる作家の作品の中に、ルネサンス後期のイタリアの画家・アルチンボルドの作品《ソムリエ(ウェイター)》も展示されていました。嬉しい誤算とも言えるコレクションが大阪中之島美術館にありましたね。

 

この作品は、もともと大阪市の「ふれあい港館ワインミュージアム」のコレクションだったそうで、閉館に伴い最終的に当美術館の所蔵となったそうです。美術館の設立構想から約40年後に完成した美術館だけあって、コレクションの収集にも年季が入っていますね。

 

感想メモ

この展覧会は、4階展示室と5階展示室をフルに使って展開されており、どこまで続くのだろうかと思うくらいの作品数が展示されていました。じっくり味わうには、途中で休憩を挟みつつ時間を掛けて鑑賞する必要がありますね。

 

今回は、3時間半程度の時間を掛けて鑑賞しましたが、それでも、音声ガイドによる解説以外に「作品にまつわる99のものがたり」もあって、とても全部を十分味わうだけの余裕はありませんでした。

 

「作品にまつわる99のものがたり」は、特設サイトで公開されていますので、そこで読むことができます。また、図録(2,300円)には展示されている全作品と「作品にまつわる99のものがたり」も掲載されていますので、記念に購入しても良いですね。

 

美術展情報

Hello! Super Collection 超コレクション展

会場:大阪中之島美術館
会期:2022年2月2日(水)~3月21日(月・祝)
休館日:月曜日(3/21を除く)
観覧料:1,500円(一般)
音声ガイド:600円(のん/土田大)
写真撮影:一部可能
図録:2,300円
Web:大阪中之島美術館「Hello! Super Collection 超コレクション展」
特設サイト:大阪中之島美術館「Hello! Super Collection 超コレクション展」
2022年02月28日|ブログのカテゴリー:2022年投稿, 展覧会レビュー